手嶋多一(50)シニアデビュー戦でいきなり逆転V。シニア新時代で打倒マークセン成るか?!

シニアツアーデビュー戦Vを果たした手嶋多一。嬉しい優勝カップを掲げる(写真提供=日本プロゴルフ協会)

手嶋多一(50)がシニアツアーデビュー戦となった金秀シニア沖縄オープンでいきなり優勝。さすが日本オープンチャンピオン(2001年)の貫禄をみせつけました。昨年10月に50歳を迎えた手嶋は、今季のシニア入りを心待ちにして4月12日開幕のシニアツアーに初登場。初日トップの63歳・倉本昌弘を破る逆転で、2日間通算9アンダーの開幕戦Vでした。2013年のこの大会で崎山武志が優勝して以来のシニアツアーデビュー戦V。今季は手嶋はじめ深堀圭一郎(50)、桑原克典(50)、藤田寛之(今年6月16日で50歳)丸山茂樹(今年9月12日で50歳)・・と続々シニア入りする有名選手がいます。中嶋常幸、室田淳時代のシニア戦線も、いっきに主力選手交代の波が押し寄せています。″若い力〝で立ち向かう昨季5勝の鬼より怖いプラヤド・マークセン(53=タイ)打倒のシーズンになりそうです。
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シャープなスイングで安定したゴルフが身上の手嶋多一。レギュラーでは日本オープン、日本プロの覇者だ。

今季のシニアツアーは昨年と同じ18試合が組まれています。先の沖縄開幕に続いて第2戦はノジマチャンピオン杯箱根シニアがすでに行われ、ここでは53歳の秋葉真一が逆転でツアー4勝目を飾りました。シニアルーキーの桑原克典(50)が1打差の2位に入り、2試合目での1勝を惜しくも逃がしました。開幕早々″若手〝のつばぜり合いが始まっていますが、開幕戦を制した手嶋のシニアデビューは圧巻でした。前日首位だったPGA会長の倉本と最終組で優勝争い。「会長と一緒だったけど、忖度(そんたく)しないで全力プレーで勝ちました」と表彰式でもスピーチしてギャラリーを笑わせる一幕もありました。

初日トップに立ったPGA会長の倉本昌弘。最終日はルーキー手嶋多一の逆襲にあって4位に落ちた。

1番でいきなりバーディーを奪うと3番で8㍍、4番で7㍍と長いバーディーパットを連続で入れて波にのりました。6番のボギーがありましたが、バックナインでまた2つのバーディーを加え5バーディー、1ボギーの68。最後まで競り合った河村雅之(52)を抑えての逆転でした。レギュラーツアーでも初優勝が沖縄(ファンケル沖縄OP=1999年)だった手嶋は「沖縄は最高!」と手放しの喜びようでした。
★優勝コメント
「最終組も僕が一番若いので頑張れると思いましたけど、優勝するようなゴルフができるとは思ってなかったので。シニアは楽しかったです。カートにも乗れるし、プレースピードも速いし、スコアは結構競っていたけど、和やかな雰囲気で話ができたりしました。本当に楽しい2日間でした。でも一緒だった倉本さんや河村さんに飛距離で負けるんですよね。自分はパットが少し入ったくらい。河村さんが18番で木に当たったり、バンカーに入ったりのアンラッキーがあったので(自分が)勝てました。精神的にも落ち着いてできたのが勝因ですかね。シニアは、推薦で出られるレギュラーとぶつからないときに出たいんですが、日程が重ならない週がなかなかないんですよ」

シニアルーキーのひとり桑原克典。第2戦のノジマ杯箱根シニアでは1打差2位で惜しくも初優勝を逃がした。

2日間大会で優勝賞金は450万円。翌週は出場権があったレギュラーツアーの国内開幕戦、東建ホームメイト杯に出場しましたが、こちらはあえなく予選落ち。5月には出場権を得た全米プロシニアに挑戦します。久々の米国遠征で「向こうのシニアの試合を見てみたい。予選に落ちないように4日間やってきたいですね」と、シニア入り早々米シニアツアーへのチャンス到来で、しぼみかけていたモチベーションの高揚にワクワクしている手嶋です。

22年間維持してきたレギュラーツアーのシード権を昨季でなくした悔しさがまだ残ります。プロ入り前には米国留学の経験もあり東テネシー州立大卒の肩書が輝いています。93年にプロ入り。正確なショットが売りものですが、01年には絶妙のパットで日本オープンを制しました。04年には選手会長も務め、07年には欧州ツアーにも参戦。14年には日本プロにも勝ってツアー通算8勝。17年には史上11人目となる生涯獲得賞金10億円を達成。派手さはないですが、安定した戦績を残してきました。今季はシニアの資格は得ましたが、レギュラーツアーでは日本プロの年間シード(5年)最後の年。レギュラー、シニアかけもちで、あわよくばレギュラーのシード権復活を狙う手嶋多一です。

シニアツアーは、昨年2月に50歳になった谷口徹が日本シニアオープン(7月)だけに出場しましたが、今季は手嶋に続き桑原克典が金秀シニア(27位)、深堀圭一郎が2戦目のノジマ杯箱根シニアでそれぞれデビュー(35位)。深堀は「これからもシニアにずっと出る」と宣言しています。藤田寛之が6月16日。丸山茂樹は9月12日に50歳の誕生日を迎えます。手首に故障があった丸山を除き、まだレギュラーで戦っている選手ばかりなので、シニアの資格を得ても″かけもち出場〝になる公算が大です。

″シニアの鬼〝プラヤド・マークセン(タイ)。今季はシニアの″若い力〝で打倒マークセンが成るか!?

シニアツアーには″マークセン旋風〝が吹き荒れています。ここ3年をみても4勝(16年)、4勝(17年)、5勝(18年)と荒稼ぎです。今季のマークセンは、2戦目のノジマ杯箱根シニアが初戦で23位のスタートでした。台頭してきた″若手軍団〝が打倒マークセンを果たせますかどうか。ノジマ杯箱根シニアに勝った秋葉真一や米山剛、河村雅之、川岸良兼、鈴木亨らも加わったシニア新時代の争いが注目です。

(了)