男子ゴルフの石川遼(30)が米ツアーに再挑戦する決意を明らかにして注目されています。米ツアーといっても、出場資格のない石川ですから“下部ツアー”(コーンフェリー・ツアー)の予選会を今秋に受験して「一からやり直す」というのですから驚きです。遼は2013年から17年までの5年間、米ツアーを本拠として戦った経験がありますが、未勝利のまま17年で出場権を失い日本ツアーに復帰した過去があります。それから4年、同学年の松山英樹が今春マスターズを制覇する大きな出来事があり、自らは今年9月17日で30歳の節目を迎えました。15歳のアマチュアでプロツアーで勝ち、以来国内では脚光を浴び続けたゴルフ人生ですが、米ツアーへの情熱だけは遼から消えることはなかったのです。今年6月、日本地区予選を通り全米オープン本戦に出て大差で予選落ちしたあと決断したという。その2次予選は、2週間後(10月19日から)に迫ってきました。肉体改造、スイング修正と、この日のために着々と準備を怠らなかった石川遼の「執念」をみました。
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再び夢の舞台を目指す石川遼。それを目指して鍛えてきた“体形”は、まるで別人のようです。一段と太くなった大腿部や二の腕。30歳になって顔つきまで一変しました。遼クンがこれまでの米ツアー経験で知ったのは、何はともあれ「飛距離の差」でした。もっと飛ばさなくては世界では戦えないー。「強行軍でもケガをしないタフな体をつくっていきたい」と、体力増強への肉体改造に取り組みました。昨年春ごろからは、飛距離と正確性を念頭においたスイング改造にも着手。今年6月、日本地区予選をパスした全米オープン(6月、トーリーパインズGC)では45.5インチのドライバーを2インチ長くし、米ツアーでもいま数多くみられるという長尺ドライバーを導入。しかし、全米はカットラインから7打差もついた予選落ち。そうそう甘くはないぞという警告でした。それもこれも、もっと遠くへ飛ばしたい、精度の高いショットを打ちたいという、遼の涙ぐましい努力の日々といえました。
今季、国内での石川遼。8月末のSansanKBCオーガスタで1打差の2位。続く9月第1週のフジサンケイでもトップ争いを演じて3日目単独トップ。2週続けて惜しい2位など、優勝はこないものの、秋の陣へ向けてひとランク上の戦いを続けています。4年ぶりに心を動かす米国。しかも今度はスポット参戦は捨て、一からの本格挑戦しようというのですから普通ではありません。
「1年間、米国で生活し、向こうのコースでのプレーが日常になることが大事。そうすれば初めて自分のリアルが感じられると思う。以前米国を離れたときは、日本で世界ランクを上げてまた米ツアーに戻ればいい、と思っていた。いまは違う。下部で戦う意味を感じている。やりたいことをやろうと決断したんだ」という。、陽の当たる花道ばかりを歩いてきて「自分には下積みの経験がない」とする石川。30歳にして、“泥にまみれても”との気持ちの変化が生まれたのは驚きです。
米下部ツアーは、レギュラーツアーに上がれない選手、またこれから上を目指そうという若者たちが目の色を変えてひしめく世界です。その中に飛び込もうというのですから、石川の思いは悲壮です。米ツアー復帰は、厳しい道のりです。1次予選は、20年の全米オープン(9月)で予選通過したことで免除です。2次予選は米国内5会場で開催されますが、石川はカリフォルニア州ベアクリークGC会場をエントリーしています。10月19日から始まります。2次、最終予選はともに4日間72ホールストロークプレーです。最終予選会まで進み、そこで上位に入れば、石川遼の22年ー23年シーズン、米レギュラーツアー参戦が実現します。
また10月12日時点で日本ツアー賞金ランク5位以内であれば、2次予選会が免除され11月4日からの最終予選会出場でOKです。今週のブリヂストンOP終了時点がその期限ですが、現在石川の賞金ランクは10位。今週末どこまでランクアップできるか。「どうせやるなら2次からでいいと思っている」と石川は腹をくくっていますが・・。
国内ではビッグトーナメントが続く秋の陣です。米Qスクールを優先すれば、国内の試合は2の次となるのは明かです。「ヒデキと同じステージに立ちたい」ー石川遼、30歳にしての夢は大きな決断で、まさに大勝負です!
<予選会(Qスクール)>
★1次予選会⇒2次予選会(10月19日からカリフォルニア州)⇒最終予選会(11月4日からジョージア州)。
★下部ツアー(コーンフェリー・ツアー)は1月~9月に26試合が予定されています。その賞金ランキング25位以内に入るか、入れ替え戦で上位25人に入れば翌年のレギュラーツアーへの出場権がもらえる。