いま開催中の日本女子プロゴルフ協会のプロテストが盛り上がってます。今年のテストには話題の選手が目白押し。18歳で国内ツアーを飛び越えて米女子ツアーに本格参戦していた山口すず夏(21)。3シーズン主戦場にしてきた米ツアーで実績を残せないまま、今秋日本のプロテストに帰ってきました。注目選手の多いA地区(茨城、ロイヤルゴルフクラブ)では他に先週のスタンレーレデイスでアマチュアとして史上2人目のプレーオフ進出(敗退)を果たした佐藤心結(みゆ=明秀学園日立高3年、18)。この秋行われた「全国高校ゴルフ選手権」個人女子を制した櫻井心那(ここな=長崎日大高3年、18)ら多士済々。10月15日に終わった2次予選では山口すず夏が8アンダーでトップ通過。佐藤心結は4日間イーブンパーで4位タイ。櫻井心那は7位でいずれも最終プロテスト(11月2~5日、京都・城陽CC)へコマを進めました。話題を集めたA地区の顔ぶれを探ってみました。
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18歳でいきなり米ツアーを主戦場に選んだ山口すず夏。3年間の米ツアー挑戦では予選落ちの連続。優勝はおろか、これといった戦績もないまま、日本へ戻ってきました。取得していなかった日本の女子プロ協会正会員資格を目指して、一からのやり直し。気落ちすることもなく、9月第1週に行われた第1次予選では2日目、12番パー4では右ラフから159ヤードの2打目を直接カップインさせるイーグル。米国仕込みの高度なテクニックも披露するなど、通算イーブンの2位タイで1次を通過。今回の第2次予選にのぞみました。一度もプレーしたことがなかったという難コースのザ・ロイヤルゴルフクラブが舞台でしたが、4日間のうち3日間を60台で回るトータル8アンダー。2位に5打差をつける圧勝のトップ通過でした。米国では苦労続きでしたが、米ツアー3年間の下積みはムダではなかったのでしょう。
このすず夏ですが、米ツアーへの思いはまだすべて捨てたわけではありません。今回も日本での1次予選を通過した後、米ツアー「ポートランド・クラシック」には出場。「もしこれにトップ10に入ったら翌週のアーカンソー選手権に出場する」というスケジュールでした。しかし、幸か不幸か「ポートランド・クラシック」は予選落ち。この時点で日本にとんぼ帰りしてプロテスト2次予選への出場を決めました。
「今でも米ツアーで戦いたい気持ちは強いです。ただ向こうで結果を残せてないので、出場試合も限られてきます。なので、米ツアーと日本ツアーの両方にらみで、どちらでも参戦できるように準備しているところです」(すず夏のブログより)。
すず夏のポジティブな意欲には驚くばかりですが、トライしている日本のプロテストは「1次、2位通過」、「2次、トップ通過」と順調な足取りです。11月の最終テストが注目ですが、首尾よくプロテストに合格すれば、すず夏の来季の主軸は米ツアーに思いを残しながらも国内ツアーに傾きそうな気配です。2000年生まれ。古江彩佳,西村優菜、吉田優利、安田佑香らのミレニアム世代の仲間が、またひとり増えそうです。
さて、お次は前週の「スタンレーレディス」で4人のプレーオフに食い込んだアマチュア、佐藤心結(みゆ)の動向も気になります。目下、茨城・明秀学園日立高3年。鍛え込んだ強靭な下半身と腕力から繰り出す長打力は、いまプロになってもトップグループに入れるでしょう。中学時代は神奈川県の地区大会優勝経験がある砲丸投げの選手。女子ながら300ヤードに及ぶロングドライブは魅力満点。スタンレーでも3番パー5で残り238ヤードを2オン。6㍍のイーグルパットを沈めて2日目首位タイに並ぶ圧巻ゴルフをみせました。4人プレーオフではしぶこの“一敗地にまみれ”ましたが”、その2ホール目、18番パー5でグリーンを狙った90ヤードの3打目を旗竿に直接当て、ボールは7㍍ほど弾かれるアンラッキーがありました。精度の高いアイアンショットも兼ね備えている高校生です。
スタンレーのプレーオフから中1日の強行日程でプロテストの2次予選に出場。初日は74と出遅れましたが、毎日スコアを上げ、最終4日目には「69」を出してトータル、イーブンパー4位タイで楽々2次も通過しました。
心結はこれまでプロのツアーには3戦出場していますがすべて予選落ち。4戦目のスタンレーで大ブレークしましたが「私の武器は、スピン量の多いアイアンショット。東名の硬いグリーンもそれで攻略できました。それと、ひっかける球が多かったパターも、バックスイングを少しインに上げるようにしたら修正できました」と心結。コマを進めた11月の最終予選で「スタンレー」のリベンジができますかどうか。大型ゴルフに期待がかかります。
このほか、2次予選最終日に11アンダーの「61」を出して2位通過した泉田琴菜にも驚かされました。、新潟出身ですが、世界的に有名な米国IMGアカデミー(フロリダ州)で腕を磨いた異色のゴルファー。国内のプロテストは2度落ちた苦い経験も持っていますが、このあともスケールの大きい22歳の、満を持したブレークが待たれます。さらに櫻井心那(7位)、和久井麻由(4位タイ)、幡野夏生(21位タイ)、小暮千広(21位タイ)らも2次をクリアしました。A地区では27位タイまでの34人がパス。A、B、C3地区で行われた2次では計103人が11月2日からの最終プロテストに進みます。最終では上位20位タイまでがプロ合格者となります。