米下部ツアー(コーンフェリー・ツアー)の最終予選会に挑戦していた2人の若者が、4試合ぶりに国内ツアーに戻ってきました。ともに24歳、国内1勝の大西魁斗と桂川有人。10月下旬から国内3試合をスキップして渡米。ジョージア州の2コースで行われた最終予選会、大西は4日間の戦いで通算7アンダー12位。桂川は通算2アンダーで45位。大西は、来季の下部ツアー開幕から8試合の出場が保障される「11位から40位タイ」のカテゴリーをゲット。桂川は、このカテゴリーに1打差で及びませんでしたが、開幕から第1回シャッフルまで状況次第で下部4試合前後は出場できる位置を確保できました。2人は4試合ぶりの国内ツアー「ダンロップフェニックス」(宮崎)で疲れもみせず奮闘。桂川有人11位、大西魁斗30位で復帰戦を終えました。来季は下部ツアーを足場に米レギュラーツアーを目指し、年間26試合が組まれているコーンフェリー・ツアー開幕戦(1月、バハマ)に向け、再び海を渡るという。若者の意気や、よし!です。
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「ハードスケジュールで40位のラインに1打足りなかったけど、これからの人生でプラスになるいい経験ができた」と、米国での予選会を振り返る桂川。「ショットは絶好調だったのに、パットが全然入る気がしなかった」と米国では連日大苦戦。最終日は112位からのスタートで「もう自分の力を試す機会にしよう。やりたいことをやって、次につなげよう」と、開き直ったら9バーディー(2ボギー)でベストスコア「64」が出た。順位を45位まで上げたのは自信になったという。「開幕から8試合出場権」の“11位~40位”には惜しくも1打差で届かなかったが、帰国早々の「ダンロップフェニックス」では優勝戦線にあと一歩のところまで復調。通算12アンダーで11位に食い込みました。国内は残り2試合で賞金ランクは4位にいます。躍進若手群のなかでもトップクラスの実力を備えてきた桂川です。
愛知県生まれ。高校時代、フィリピン・マニラに3年間のゴルフ留学した異色の経歴の持ち主です。帰国後は日大ゴルフ部で「日本学生」優勝(18年)、19年には「日本オープン・ローアマ」(23位)。20年にプロ転向し、21年は下部ツアーで1勝。ツアーに参入した今季22年4月には「ISPSハンダ欧州・日本トーナメント」でツアー初優勝し、所属の国際スポーツ振興協会(ISPS)へのホストVを果たしました。「来年も日本にいても、チャンスがあれば米ツアーのシードを取りたい」。本場米ツアーでの開花を目指す国際派です。新年早々の下部ツアー開幕戦、バハマにはもちろん出向くつもりです。
大西魁斗(かいと)。「ダンロップフェニックス」では30位と振るいませんでしたが、日本期待の大物です。24歳。愛知県出身。英語力とゴルフの腕を伸ばしたいと9歳で単身渡米。13歳でIMGアカデミーに入り、中学、高校、そして南カリフォルニア大と留学生活。大学時代にはオールアメリカン(米国選抜)に選出された逸材。全米ジュニア、全米アマにも出場。米国滞在中だった丸山茂樹プロの指導も受けたという変わり種。父親はNHKの英語講座で知られる大西泰斗氏。大学卒業後、帰国して21年にプロ転向。国内下部ツアーでデビュー。昨年の下部Abemaツアー賞金ランク15位で今季レギュラーに本格進出。9月の「フジサンケイクラシック」でプレーオフ(朴相賢=韓)でツアー初優勝・・と順調な足取りで上がってきた新鋭です。
「いずれは米ツアーに行って優勝したい」との夢を追い、下部ツアーからの挑戦を選んだあたりは、米国事情も知り尽くした堅実なプラン。ジョージアでの予選会では「熱中症になりそうな暑さに参った」としながら、南カリフォルニア大時代のチームメートをキャディーに、3日目の6位から12位に落としましたが、来季下部開幕からとりあえず8試合の出場権を獲得しました。
今季の国内では賞金ランクは現在11位。最終戦12月の「日本シリーズJT杯」を済ませると、オフを楽しむヒマもありません。年明けには早々にハバマ行の準備にかかるということです。
大西と桂川。同じ愛知出身、同世代の幼馴染み。いきなりレギュラーツアーのトップグループに見参した松山英樹らとは違って、下部ツアーから這い上がろうという24歳コンビ。目を離せません。
(了)