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賞金総額1億円アップの2億1000万円(優勝5000万円)。14年ぶりマッチプレー″ビッグ〝になって復活! 男子ツアー、今季も26試合変わらずだが・・。

ビッグゲームにはギャラリーで賑わう国内男子ツアーだが・・。(16年10月、日本オープン=埼玉・狭山GC)
ビッグゲームにはギャラリーで賑わう国内男子ツアーだが・・。(16年10月、日本オープン=埼玉・狭山GC)

新しい年が明けてゴルフ界も新しい動きが始まります。米男子ツアーはすでに昨秋10月に新シーズンが始まっていますが、日本の男子ツアーは、1月19日(木)からシンガポールでの試合で開幕します。昨季から実施されている海外ツアーとの共同主管競技、三井住友銀行の「SMBCシンガポール・オープン」(アジアンツアー)で幕を開け、同じく日本企業の「レオパレス21ミャンマーオープン(ミャンマー)」の海外2連戦で今季の熱戦が始まります。国内試合は、約2ヵ月半間をおいて4月13日、「東建ホームメイト杯(三重・東建多度CC名古屋)」からスタートとなりますが、全26試合は昨年と変わらず、賞金総額は昨季より約8600万円増の35億9475万円。14年ぶりにマッチプレーが高額賞金で復活するのも注目ですが、海外に挑戦している選手の国内試合出場義務試合は改定、海外メジャーでの獲得賞金は国内賞金ランクに加算しない方向で調整する(実施は来季から)など、苦肉の策も施さなくてはならないのが現状です。発表された今年の日程から、男子ツアーの要点を探ってみましょう。

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松山英樹(左)、石川遼(右)が同組でファンを集めた去年の日本オープン(埼玉・狭山GC)
松山英樹(左)、石川遼(右)が同組でファンを集めた去年の日本オープン(埼玉・狭山GC)
16年、初の賞金王に輝いた池田勇太のショット。
16年、初の賞金王に輝いた池田勇太のショット。

青木功会長に体制が変わって2年目のシーズンです。″世界のアオキ”が日本ゴルフツアー機構(JGTO)のトップに立ち、スポンサーとの関係改善で試合数の増加も期待されましたが、試合数は昨年と変わらず「26試合」。大西久光副会長は「(青木効果で)試合が増えるとしても、それは18年度からになるでしょう」と、見通しを話しています。
内容的に大きく変わったのは、昨季までISPSハンダグローバルカップとしてストロークプレーで行われた大会が「ISPSハンダマッチプレー選手権」に競技方法が変更されることです。日本の男子ツアーとしては、75年~03年にメジャー大会として行われていたマッチプレーが14年ぶりの復活です。「ゴルフの原点であるマッチプレーをぜひ復活させたかった」(ISPS 半田晴久会長)と、国内久々のマッチプレーが見られますが、賞金総額は昨季の1億円から2億1000万円に大幅アップ。優勝賞金は5000万円で、日本オープンやダンロップフェニックス、日本シリーズJT杯の優勝4000万円を上回って、ともに国内最高額のビッグイベントになります。競技方法は2週に分け、8月1日~2日に1、2回戦96選手が参加。2回戦を勝ち上がった24選手と、2戦前の長嶋茂雄招待セガサミー杯までの賞金ランク上位のシード8選手を加えた計32選手が、9月6日からの3回戦~ファイナルに臨みます。出場選手は合計で104人。2週に分けるのも異例ですが、7回勝って優勝というタフな1戦になります。マッチプレーは人気選手、有名選手が早々と敗退してしまうリスクもあって、日本ではなくなっていましたが、今季は再び話題を集めることになるでしょう。会場は千葉・浜野GCです。

昨季は1勝して賞金ランク6位と健闘した小平智(左)と賞金王・池田勇太(右)がスタートを待つ(ともに昨年10月の日本オープン=狭山GC)
昨季は1勝して賞金ランク6位と健闘した小平智(左)と賞金王・池田勇太(右)がスタートを待つ(ともに昨年10月の日本オープン=狭山GC)

国内メジャーでは、昨季は北海道での試合のため6月に開催した日本プロゴルフ選手権が、沖縄・かねひで喜瀬CCに移り、元通り5月開催に戻ります。日本ゴルフツアー選手権森ビルカップは茨城・宍戸ヒルズCCで変わらず6月1日から。日本オープン選手権は埼玉・狭山から岐阜関CC東に移り10月12日開幕。ツアー最終戦の日本シリーズJT杯は、いつも通り東京よみうりCCで11月30日~12月3日に行われます。

JGTOでは、ツアーの出場義務試合数の改定も合わせて発表。14年から海外ツアー参戦選手に科していた5試合を「3試合」に減らし、義務試合数を果たさない場合に科せられていた「翌年1年の出場停止」などの罰則もなくなりました。海外組が日本でもプレーしやすくなる″受け皿〝はできたわけで、松山英

昨季、最後まで池田勇太と賞金王を争って賞金ランク2位にとどまった谷原秀人(昨年の日本オープン)
昨季、最後まで池田勇太と賞金王を争って賞金ランク2位にとどまった谷原秀人(昨年の日本オープン)

樹、石川遼、岩田寛ら米ツアーに参戦している選手には朗報でしょう。
これまで義務の5試合をこなすために石川や岩田は日米を往復する連戦で苦労し、14年から米ツアーに主戦場を移した松山は、「年間5試合の出場はムリ」と、15、16年は日本ツアーへの登録を捨て、″米ツアーの選手”になっていました。昨秋の日本オープン優勝で5年シードを得た松山は、日本ツアーへの登録さえ行えば、年間3試合を消化できなくても罰則はないため、21年まではシードが有効になります。
さらにこれまで海外メジャー4大会(マスターズ、全米OP、全英OP、全米プロ)で得た賞金は、国内の賞金ランクにも加算されてきましたが、「海外と国内大会との金額差が大きくなったため」(大西副会長)、国

今季から選手会長で男子ツアーを引っ張る宮里優作。今季はどんな舵取りをするか、見ものだ(昨年の日本オープン)。
今季から選手会長で男子ツアーを引っ張る宮里優作。今季はどんな舵取りをするか、見ものだ(昨年の日本オープン)。

内では加算しない方向になりました(18年度以降)。「海外に出て行っている選手を縛るようなことは良くないし、これからは時代に即したルールでないといけない。青木会長も強く望んでいたことだ」と、大西副会長は説明しています。

現実的には、米ツアー3人組は来季も米国を本拠として戦うため、日本でのプレ―はほとんど見られません。見られるとしても秋の陣からの限られた試合になるでしょう。これら人気選手が海外に流出してしまった日本男子ツアーは、依然厳しい環境です。スポンサー離れ現象はまだ解消せず、今季の日程も6月は1試合だけ。7月、8月は各2試合ずつ。9月以降になってやっと最終戦までほぼ毎週試合が組まれている状態です。今季も38週に試合が組まれ、年間を通して試合のある女子ツアーには大きく水をあけられています。賞金総額でも、今年も女子に後れをとっている男子ツアーです。青木功会長のもとさまざまな方策が講じられている一方で、選手の一大奮起がのぞまれるところです。