石川遼が晴れて日本プロゴルフ協会(PGA)の会員になりました。12月も押し迫った19日に石川遼は「2008年度PGA入会セミナー」の4日目(セミナーは16日~19日の4日間都内のホテルで開催)を受講、これによって正式なPGA会員となりました。本来ならプロテストを受けてパスするか、1年間ツアーを戦ってシード選手になるか、のどちらかでないとPGA会員にはなれませんが、石川遼は08年4月にPGAが制定した″特例〝によって入会が認められていました。ただし、12月の入会セミナーを受講することが条件だったのですが、その『座学』(セミナー)とは? 17歳の遼クンが″1日受講だけ〝とは、もったいない内容でもありました。
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そもそもこの「PGA入会セミナー」は、だれが受講するのかというと、受講者は08年度でいうと①プロテストに合格したトーナメントプレーヤー(TP)54人、ティーチングプロ(TCP)137人②日本ゴルフツアーで賞金ランキングシード獲得によって実技を免除された8人③特例の石川遼、の計200人。
では、セミナーの内容は?
1日目が松井功PGA会長による開講式の挨拶に続いて午後から「PGAの組織と運営」(PGA事務局)「ゴルフ法学」(弁護士・米林和吉氏)、「暴力団と反社会的勢力の実態と防備の心得」(警察庁組織犯罪対策部・中林喜代司氏)「プロフェショナルとして」(″世界の王〝を育てた荒川博氏)の4科目(1科目約50分)。
2日目。「保険について」(井藤栄作氏)「PGA会員に求められるもの」(日本ゴルフ場事業協会・手塚寛氏、全日本ゴルフ練習場連盟・横山雅也氏)「プロゴルファーとマスコミ」(ゴルフ評論家・武藤一彦氏)「日本のゴルフ史」(大学教授・久保田誠一氏)「技術力向上のためのコンディショニング」(筑波大教授・白木仁氏)「ルールについて」(PGA専門競技委員・小林英次氏)。
3日目。「ゴルフ用具論」(竹林隆光氏)「トーナメントのコースセッティング」(コース設計家・加藤俊輔氏)「接客について」(佐藤純子氏)「ゴルフトレーニング学」(筑波大準教授・尾縣貢氏)。
4日目。「ゴルフコースの管理」(倉上俊治氏)「ゴルフと人生」(世界殿堂入りした青木功プロ)「ゴルフ心理学」(名古屋大学教授・西田保氏)「PGA会員としての身だしなみ」(メンズファッション協会理事長・池田ゆう氏)。
4日間の全科目を受講するのはプロテスト合格者のトーナメントプレーヤー54人。ティーチングプロは2日目の4科目目まで。シード選手で入会を希望した8人《池田勇太、甲斐慎太郎、貞方章男、津曲泰弦、藤島豊和、松村道央、今井克宗(03年取得)、国吉博一(03年取得)》は、3日目だけの全科目を受講ー。
というように選手によって受講日を指定されています。
石川遼だけは別格です。08年4月、石川サイドからの入会申請を受けたPGA理事会は「アマチュアとしてツアー優勝者」という扱いで、石川の入会を実技免除で特例として認めていました。ただし、12月に開かれる入会セミナーは座学として1日受講することを条件にしていました。で、石川遼は今回、4日間のうちいずれの日をとってもよかったのです。石川本人のスケジュール等で「4日目希望」が出され、12月19日(金)の4科目の受講が決まったというわけです。17歳の少年プロにはもっと多くの時間で受講させたかったためになる科目も多かったのでもったいない気もしますが・・。
石川遼クンは4科目のうち青木功プロの講義がやはり感銘深かったようです。「自分もプロになっただけで自己満足してしまい、5、6年は遊んでしまった。みんなはその轍(テツ)を踏まないように」と、自らの経験を語った青木講師の話に遼クンは熱心に耳を傾けました。また「ゴルフ人生の半分くらいは失敗の連続。そういうことがあるからそのから立ち上がってやってこられた。ゴルフも努力を忘れずに目標に向かってやっていればかなえられる。いまでも自分は1番ティーに立つときには、ゴルフの神様にありがとうといって始めている」とも。
「心・技・体」でなく「体・技・心」であるとも説かれた石川遼は「この言葉は心に残りました。体力がなければ何もできないのはその通りだと思いました。また失敗があるから成功につながるのもよく分かりました」と、50歳の年齢差もある″世界のアオキ〝からの一言一言は身に沁みたようです。
プロ1年目は、17歳で予想を覆す大活躍をした石川遼。プロに混じって過ごしたこの1年で、いろいろな面で遼を大きくしました。09年は海外に出る年にもなりそうです。PGA会員にならなくてもプレーはできますが、ツアープロのほとんどはPGA会員になっています。海外に出ても「日本PGA会員」の肩書きは、いろいろな形で通用します。平成生まれ初の最年少PGA会員となった石川遼のさらなる飛躍に期待!です。