★チャレンジ・ツアー最終戦Vで逆転賞金王となった300ヤード砲・大堀裕次郎。 5年ぶりシード権復活「30歳の苦労人」!

ABEMAツアー今季最終戦Vでチャレンジの逆転賞金王をつかんだ大堀裕次郎。
ボードを掲げてガッツポーズ(茨城・取手国際GC)=JGTO提供=

男子下部のABEMAツアー(チャレンジ・トーナメント)今季最終戦で年間2勝目を挙げた大堀裕次郎が、逆転で下部ツアー賞金王に決定です。石川遼らと同年でプロ9年目、30歳のベテランですが、苦労を重ねてチャレンジ今季最終戦の「ディライトワークスJGTOファイナル」(茨城・取手国際、パー70)で通算18アンダーで優勝。賞金ランク1位にいた小木曽喬を微差でかわし、来季、5年ぶりのうれしいレギュラーツアー出場資格の獲得です。チャレンジ・トーナメントは年間13試合で、2勝して賞金1位となった大堀の獲得賞金は779万8551円でした。

☆★      ☆★      ☆★

300ヤード超を主武器とする“飛ばし屋”大堀裕次郎のショット(JGTO提供)

上のレギュラーツアーを目指して繰り広げられる下部ツアーの競り合いもし烈です。今季全13試合の下部ABEMAツアー。最終戦、最終ラウンドのきわどい順位争いでした。首位タイから出た大堀裕次郎は、7バーディー、1ボギーの「64」で回り、トータル18アンダーで接戦を抜け出しました。優勝賞金は360万円。これを加えた大堀は、ランキング1位に立っていた小木曾喬をかわして、初の栄冠に輝いたのです。ご褒美は来季のレギュラーツアーフルシード権の付与。下部ツアーで戦っている選手には何よりの“賞金”です。通算17アンダーの2位は尾崎慶輔。前試合まで賞金ランク1位だった小木曾喬は最終戦32位と振るわず、大堀に逆転を許しました。

大堀裕次郎。兵庫県出身。182㌢、80㌔の大型プレーヤーで、大阪学院大時代は、男子ツアー賞金ランク3位(昨季)の木下稜介と同学年同期。ジュニア時代から“飛ばし屋”で注目され、中学生のころは同年の石川遼らと「チームジャパン・ジュニア」に選抜され、合宿を共にしたこともあるという。2つ年上の姉の薫さんは、2010年の「日本女子学生」チャンピオンをとったゴルファーで、プロになった裕次郎のキャディーを務めたこともあります。

大阪学院大では大堀裕次郎と同期生の木下稜介。

大堀は2013年7月に「日本アマ」優勝。その13年12月にプロ転向。300ヤードドライブのロングヒッターは、プロになってもすぐに目立つ選手に。石川遼、松山英樹と同学年の“大器”とうたわれ、チャレンジ・トーナメントでは15年に1勝。16年にはレギュラーで初シードと順調な足取りでした。好事魔多し・・19年に右足首捻挫で挫折。20年には手術まで受ける重症となりシードを陥落。まさに“不運の男”そのものでした。

ようやく復活を期した今季。レギュラーでは「シンハンドンへ・オープン」(奈良)49位のほか、下部ABEMAツアーで「PGMチャレンジ」を制し、最終戦「ディライトワークスJGTOファイナル」で2勝目を挙げ、逆転賞金王の栄冠を手にしました。

波乱万丈。この11月20日には31歳を迎えますが、ツアー未勝利。チャレンジで2位を1打差でかわして賞金王となった喜びは、これまで“苦難の旅”だっただけに嬉しさも百倍。
「本当にうれしい。自分のゴルフを客観的に冷静に見ながらプレーできたのが、優勝につながったのかな。

ABEMAツアー昨季の賞金王、久常涼(20)。レギュラーツアーに上がった今季はいきなり大活躍で脚光を浴びる。

これまで苦しい時期を過ごしてきたので、来年こそ勝負の年になった。なんとか頑張りたい」と喜びをかみしめながら「30歳からの勝負」に力を込めて訴えています。

ABEMAツアーの昨季の賞金王は、下部3勝を挙げてレギュラーに上がった久常涼(20)です。今季はレギュラーで大活躍。先週終わった日本開催の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(千葉・習志野CC)では、16選手が出場した日本勢最上位タイの12位に入る健闘でした。ABEMA出身者の活躍は励みになります。そのあとを追って、来季のブレークを期す300ヤード砲・大堀裕次郎。苦節を重ねた男に、光が射すでしょうか!

(了)