珍しい5人POで魅せたシニアの「技」! 8年連続観衆2万人超「ファンケルクラシック」でのドラマ!

5人POを制してシニア3年目で初Vを挙げた米山剛(ファンケルクラシック=静岡・裾野CC)。

5人POを制してシニア3年目で初Vを挙げた米山剛(ファンケルクラシック=静岡・裾野CC)。

日本シニアツアー史上最多の5人によるプレーオフを3ホ―ル目に制した米山剛(52)が、カッコいいシニア初優勝を果たしました。「ファンケルクラシック」(静岡・裾野CC)。抜きつ抜かれつの大混戦の末は、通算7アンダーで米山のほかスティーブン・コンラン(51=豪)、清水洋一(54)、金鍾徳(キム・ジョンドク、56=韓)、真板潔(57)の5人が並び、5人同組でのプレーオフが18番パー5で繰り広げられました。右膝痛をおして出場していた真板が、1ホール目の第2打をシャンク気味に右OBして脱落。4人で臨んだ3ホール目。米山が234ヤードの打ちおろしのセカンドを、4Uでカップ30㌢につける劇的なイーグルショットを放ち、追いすがる3人を退けました。今季これまでシニアツアー6試合で4度トップ10に入っている好調な米山が、ついに初Vの栄冠。賞金ランキングも1位のP・マークセン(タイ)を急追する2位に浮上。シニアツアーの新しい″目〝になりそうです。

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キレのいいショットをみせる米山剛(静岡・裾野CC)

キレのいいショットをみせる米山剛(静岡・裾野CC)

めったいに見られない5人もの猛者が集まるプレーオフ。富士山麓に広がる裾野CCは異様な雰囲気に包まれました。シニアツアーでも屈指のギャラリーを集めるこの大会。今年の最終日も8028人が入って、8年連続3日間合計で2万人超えを記録しました。例年酷暑のトーナメントとして名高い「ファンケル」ですが、今年は連日の曇天で最終日も気温30度を割る″涼しさ〝でした。5人が一組で打ってくる18番。2打目から打ちおろしで池越えのグリーンを狙う名物ホールのギャラリースタンドは、もう満席。1ホール目。「5人ものPOではイーグルとらないと勝てない」(真板)と、グリーンを狙った第2打がシャンク気味に右に飛んで無情のOB。早々と脱落です。4人は全員バーディーで2ホール目に入りました。

シニア3年目、″5人PO〝を制してシニア初Vの米山剛(ファンケル=静岡・裾野CC)

シニア3年目、″5人PO〝を制してシニア初Vの米山剛(ファンケル=静岡・裾野CC)

この2ホール目でピンチを招いたのは米山でした。左ドッグの1打目を左ラフに入れ2オンが狙えずに3打目勝負。その3打目がピン奥7㍍。金鍾徳はイーグルチャンスにつけるなど、3人はバーディーは間違いなし。7㍍を外すと米山の脱落は明白でした。「もうダメかなとも思ったけど、ダメもとの気持ちでショートだけはしないように打ったら、真ん中から入ってくれた」(米山)という幸運。金鍾徳はイーグルパットを僅かに外し、これで流れが変わりました。3ホール目に進めるチャンスをつかんだ米山。ここでカップが右上から左手前に切り替えられます。それを目指した米山会心のセカンドショットが飛んだのです。ユーティリティーの4番。234ヤードでしたが「打ちおろしをみて217ヤードぐらいとみた。ちょっとフック目に打ったらうまくいった。2ホール目で一度はダメと思ったので、気持ちを切り替えて打ったのがよかった。30㌢に就いたのには自分でも驚きました」

5人POに加わった金鍾徳(韓)。惜しいパットを何度も外して勝ちを逃がした。(裾野CC)

5人POに加わった金鍾徳(韓)。惜しいパットを何度も外して勝ちを逃がした。(裾野CC)

勝負のアヤとは、こんなことをいうのでしょう。片足を″脱落〝に外しかけていた男が、次にはスーパーショットを放つのですから勝負は分かりません。「(米山の第2打は)入ったと思った」という清水。30㌢のイーグルパットでも、ホールアウトするまでは分からないとばかりに第3打を打ったコンラン。これがピンの真上に落ちてバックスピンがかかり、あわやカップインか、と思わせるきわどいショット。スタンドはもう一度どよめき、冷や汗をかいたのは米山でしょう。さすが年季の入ったシニアプロが魅せる妙技の連発に、ギャラリーのため息が聞こえるようでした。

本番の18番で13㍍のイーグルパットを沈めてPOに進出したが、シニア初Vのビッグチャンスを逃がした清水洋一(ファンケル・クラシック)

本番の18番で13㍍のイーグルパットを沈めてPOに進出したが、シニア初Vのビッグチャンスを逃がした清水洋一(ファンケル・クラシック)

5人のプレーオフは、男子国内レギュラーツアーで61年の日本オープンの5人と並ぶ史上最多。シニアツアーでは09年のコマツオープンの4人を抜く8年ぶりの新記録。国内女子ツアーでは、84年の美津濃トーナメントの6人がある。米男子ツアーでは94年のバイロンネルソンクラシック、01年のニッサンオープンの6人が最多。米女子でも6人プレーオフの記録が2度残っています。珍しい記録を作ったのも、現在の国内シニアツアーが″若返り〝の真っ最中で実力伯仲の戦国時代を象徴する出来事でした。
1打及ばずこの歴史的なPOに加われなかったシニアの鬼・室田淳(62)は、大会3連覇も逃がしました。ショット、パットともいつもの室田らしいしぶとさが見られず「悔しくはないよ」と、言葉少なだったのが悔しさの本音?でした。

しぶといゴルフで最後まで粘ったが勝利をつかめなかったコンラン(豪)=静岡・裾野CC

しぶといゴルフで最後まで粘ったが勝利をつかめなかったコンラン(豪)=静岡・裾野CC

ドラマの主役となった米山剛。御殿場に近い神奈川・南足柄市生まれ。小田原・相洋高から日大ゴルフ部へ。85年関東学生、日本学生優勝、86年日本オープンローアマなどのアマタイトルをとり、同期の芹沢大介プロとの″日大コンビ〝で話題となる。87年プロ転向。99年三菱自動車トーナメントで初優勝するなどこの年3勝(99年賞金ランク5位)。15年にシニアツアーに登場。15年日本シニアオープン2位、16年は広島シニアで真板潔にPO負け。セヴンヒルズではまた真板潔に逆転されて2位・・と常に上位にいながら初優勝に手が届きませんでした。キレのいいショットが持ち味で、結構飛ばし屋でもあります。ヨネックスの創業者と同姓の縁でレギュラー時代からヨネックスとの所属契約が続いています。

右ひざ痛をおしてPOに進出したが、1ホール目に第2打を右OBして脱落した真板潔(ファンケル=静岡・裾野CC)

右ひざ痛をおしてPOに進出したが、1ホール目に第2打を右OBして脱落した真板潔(ファンケル=静岡・裾野CC)

★会心のイーグルで5人POを制した米山剛のシニア初Vのコメント。

「優勝ってスゴイことですね。こんなことを室田(淳)さんとかはしょっちゅうやってるんですね。自分はツアーで勝ってから18年くらい経ってるんで(99年以来)実感が湧かない。優勝スピーチもうまくしゃべれないで勘弁してもらいたいなぁっていう感じですね。優勝することは大変なのが分かりました。シニアになって優勝することが夢でもあったし、目標でもありました。歴史あるこのファンケルでそれができたのは嬉しい。感無量です。45歳のころからシニア向けにスイングも変えてきた。身体のケアも、芹澤信雄さんに紹介してもらった治療院(ハリなど)で毎週ケアしてもらってる。きょうはその先生も応援に駆けつけてくれてました。みんなのいろいろなサポートがきょう勝てた要因ですね。シニアになって感じるのは、レギュラーから退いてシニアに入った自分に、何十年も応援してくれているのにありがたさを心から感じてます。この優勝を自信にして、ひとつでも優勝争いができるように頑張りたいです」

めったに見られない″5人プレオフ〝を演じて勝った米山剛の″収穫〝は、ただの1勝にとどまらず計り知れないものでしょう。百戦練磨のシニアの技を随所に見せてくれた今年の「ファンケル」は、人気NO1のシニアツアーにふさわしいものでした。

(了)