レギュラー&シニア両ツアー掛け持つ選手たち。 室田淳、尾崎健夫&中嶋常幸・・

富士フイルムシニアで雨中戦を制し今季初Vの飯合肇(千葉・平川CC)
富士フイルムシニアで雨中戦を制し今季初Vの飯合肇(千葉・平川CC)

 男子ツアーは18歳・石川遼が今季4勝目を挙げ賞金王へ突っ走って話題ですが、そのレギュラーツアーとシニアツアーの両方を掛け持ちで奮戦しているプロがいます。54歳・室田淳と55歳・尾崎健夫のご両人と、試合数は少ないですが永久シード権を持つ54歳・中嶋常幸です。今季シニアツアーでは室田、尾崎健は1勝ずつを挙げ、シニアの試合がない週はレギュラーに行って顔を売っています。これらに加えて先週は55歳の飯合肇(昨年のシニア賞金王)が富士フイルムシニア選手権に勝って気勢をあげました。18歳の怖れを知らないゴルフもいいですが、往年の名プレーヤーが次々と登場、レギュラーツアーとはひと味違うプレーを披露してファンを楽しませているシニアツアーです。
 
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シニア&レギュラーと両ツアーを掛け持ちして″シニアの元気〝をみせる室田淳(左)と尾崎健夫(右)
シニア&レギュラーと両ツアーを掛け持ちして″シニアの元気〝をみせる室田淳(左)と尾崎健夫(右)

 「シニアの元気は日本の元気!」毎年、こう訴えてファンケルクラシックを主催しているのは、ファンケルの名誉会長であり大会会長の池森賢二氏です。シニアの元気なくして日本の景気回復なし、とまで言い切っています。今年8月のファンケル(静岡・裾野CC)では、3日間で2万人近いギャラリーを集めました。勝ったのは尾崎健夫でしたが、中嶋常幸、倉本昌弘、渡辺司、室田淳らが優勝争いに加わって面白い展開でした。2戦目のコマツオープン(石川・小松CC)では倉本昌弘、湯原信光、羽川豊のかっての「学士三羽がらす」が同組になって懐かしい顔合わせでした(2日目)。勝ったのは故・中村寅吉プロの最後の内弟子といわれた丸山智弘で、シニア初優勝でした。3戦目の日本プロシニア選手権(福岡・伊都GC)は室田淳が尾崎健夫の追撃を突き放しての圧勝。国内シニアに今季初登場した67歳の青木功には大勢のファンがついて衰えぬ人気を感じさせました。

富士フイルムシニアが雨で最終ラウンドが中止となりホストプロ・青木功(手前から2人目)のお声がかりで選手たちが約300人のファンにサインのサービス(千葉・平川CC)
富士フイルムシニアが雨で最終ラウンドが中止となりホストプロ・青木功(手前から2人目)のお声がかりで選手たちが約300人のファンにサインのサービス(千葉・平川CC)

 先週の富士フイルムシニア(千葉・平川CC)は連日の雨で、競技は36ホールに短縮されましたが、最終日は2日続きの雨にもかかわらず2782人のギャラリーが集まりました。これを見たホストプロの青木功は午後からの最終ラウンドが中止になると、すぐに優勝した飯合肇ら数人の選手に声をかけ、列を作った約300人のギャラリーにサインした色紙をプレゼントするサービスに努めていました。
 

試合数は少ないがレギュラー&シニアで変わらぬ実力を見せる中嶋常幸。
試合数は少ないがレギュラー&シニアで変わらぬ実力を見せる中嶋常幸。

 終身シード権を持っている中嶋常幸は試合を選びながらの優雅な?試合選びをしています。今年はこれまでレギュラーツアーは5試合、シニアツアーは3試合に出ています。レギュラーのANAオープン(9月17~20日)では最後まで優勝争いに加わって2位となる大健闘。
レギュラーでは僅か5試合で1319万2285円を稼いで賞金ランキング44位は立派です。室田淳は、実は昨年レギュラーツアーでの賞金シードを失いました。ただ、シニアの選手でもレギュラーで1試合でも優勝実績のある選手は「1年だけ1回」のレギュラー出場を認められる「特別シード制度」があります。室田は今年、さっそくこの「特別シード」を行使してレギュラーツアーを戦っています。もし、今年賞金シード(70位まで)を外すと、もう来年からはレギュラーツアーへ出るチャンスを失うのです。
崖っぷちの戦いを続ける室田は、先のANAオープンで久々のトップテン、6位タイに入り、賞金379万5000円を稼いだのが大きかったです。獲得賞金額は1000万円を超えて(1192万8698円)シード確保への灯りが見えてきました。それに気をよくしてか、先週は富士フイルムシニアとコカ・コーラ東海クラシックが重なり、レギュラーの東海の方を選びました(55位タイ)。
 
 シニアの試合は、スタートホールや上がりの18番にはローピングを施していますが、途中の多くのホールではローピングなしで選手を間近かに見られたり、声をかければ気楽に選手から返事が返ってきたりする試合が多いのです。選手とギャラリーのこうした一体感も人気の秘密の一つです。試合後の表彰式には、特別に理由のある選手以外は全選手が居残って参列します。どんなに早くホールアウトした選手でも最終組が上がってからの表彰式までコースに留まっていなくてはなりません。全選手で優勝者を称え、列席するスポンサーら関係者に敬意と感謝を表すのが目的です。
 

シニアツアーの賞金王レースを突っ走る尾崎健夫(千葉・平川CC)
シニアツアーの賞金王レースを突っ走る尾崎健夫(千葉・平川CC)

 ただ、今年は不況のあおりを食って前の年9試合から3試合が減り、ツアーは6試合です。8月最終週が開幕戦というのもちょっと寂しい日程」ですが、それなりに選手は一生懸命です。今季絶好調は、なんといってもジェットこと尾崎健夫です。開幕戦に勝ち、第2戦のコマツも初日7アンダーの65で単独トップに立ちながら、右足くるぶしに痛風の発作が出て棄権しましたが、翌週のレギュラーツアー、ANAオープンにはもう出場して予選をクリアするなど休む間もありません。先週の富士フイルムシニアでも最後まで飯合肇を脅かし1打差の2位タイでした。最終ラウンドの中止がなければ、逆転Vも・・という勢いでした。長尺パターを駆使してのパッティングがよく決まり、長打力を生かしたゴルフが快調です。
 「もうオレの賞金王は決まりだな。いまの調子ならね。でもオレが勝つことより、ギャラリーが多くきてくれることがうれしいよ。ファンケルで男女レギュラーツアーを上回るギャラリーが来てくれてその前で勝てたときはうれしかったけど、今週も雨の中よく来てくれたね。とにかくギャラリーに喜んでもらえたらいい。とにかくお客さんにわれわれの技を見てもらいたい」
 レギュラーに比べてまだまだ注目度が低いのは否めませんが、それだけに選手たちは必死に叫び続けています。
 
 シニアツアーでは抜群の強さのジェットも、11試合に出ているレギュラーツアーでは「設定が厳しすぎる」と不振続き。賞金ランクも158位と低迷しています。このほかでは、永久シードの倉本昌弘もレギュラー10試合に出ていますが賞金ランク97位。湯原信光、渡辺司らがスポットでレギュラーに顔を出しています。
 
 シニアツアーの方はあと2試合です。日本シニアオープン(賞金総額8,000万円)とHanda Cupフィランスロピーシニア(賞金総額1億1000万円)。ともにビッグマネーがかかっていますので、尾崎健夫が突っ走る賞金王レースもまだ予断は許せません。来年は試合数増が見込まれています。シニアの元気!に注目です。