マスターズを制した松山英樹の快挙で湧いた日本ゴルフ界ですが、続けとばかりに米ツアーのメジャー第2戦「全米プロ選手権」(5月20~23日)に挑んだ日本期待の若武者・星野陸也(25)と金谷拓実(22)がそろって惨敗の予選落ちです。まだまだ世界は遠い日本勢の弱さをみせつけられました。国内では、金谷が開幕戦「東建ホームメイト杯」に勝ち、星野が第5戦の「ダイヤモンド・カップ」に圧勝して賞金ランク1、2位を争う2人。その“金の卵”も、米メジャーの厳しく厚い壁には簡単に跳ね返されたのです。ひとり松山英樹のかげにいる日本のゴルファーたち、まだまだ一大奮起が必要なようですー。
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今年、全米プロの会場となったのは米東海岸、大西洋をのぞむ海沿いのリンクスコースでした。米サウスカロライナ州キアワアイランドリゾート・オーシャンコースは、なんと7876ヤード、パー72の設定。メジャー史上最長の難コースで、池もあるしフェアウェイやグリーンには大きなアンジュレーションがひそんでいて全く息を抜けません。速いグリーンにはボールを止めるスーパーショットが必要です。世界レベルの技量を身につけている松山だけが、3日目の前半までは優勝争いの中にとどまり、一時は2位まで浮上したのはお見事でした。それも3日目後半に入り、11番パー5の3打目のアプローチをミスしてから、ショットに微妙な乱れが出はじめました。ボールがラフやブッシュにつかまるようになると、正確だったパットにもブレが出始めて一気にスコアを崩しました。3日目は76と4つもスコアを落とし23位にまで下降。ひとつ間違えれば大きく順位を落とすシビアなメジャーの舞台。日本では若手のホープ、東京五輪選手にもなろうかという星野と金谷が、最初から全く手も足も出ないのですから問題です。
2人はともに全米プロ初出場。星野は初日から4オーバー、76。風の中でもショットはなんとか凌ぎましたが、パッティングに大苦戦。チャンスにつけても決めきれない。「もう少し入っていればなんとかなったのに」(星野)と天を仰ぎました。国内では今年すでに2勝。通算5勝目を挙げて賞金ランク1位に立っているいる期待の星が、2日目も83をたたき通算15オーバー、138位。「ここまで(パットが)入らないとお話にならない。松山さんは、すごい」と絶句するありさま。この星野はダイヤモンド・カップ優勝ですでに全英オープン(8月)の出場権も持っています。さらに全米オープン(6月)の出場も狙うために今回米国にとどまり、米国内での最終予選に挑戦すると明かしています。その意気たるやよし、ですが、世界のメジャーに通用するゴルフの腕をもっともっと上げてもらいたいものです。
一方ゴールデンルーキーとうたわれてすでに国内ツアー3勝(うちアマで1勝)の金谷は、今回の全米プロでは初日のフェアウェイキープは50%。パーオン率は33%とショットに大苦戦。バンカーでは1度で出せずダブルボギーなど75(77位)の初日。2日目17番パー3では9打をたたく86で通算17オーバーの142位。「戦えるレベルに全然いかなかった」と唇をかんだ金谷。2人そろってバーデイーなし。まるで勝負にならないゴルフで、最下位に近い位置での予選落ちでした。金谷も海外志向が強く、全米プロやソニー・オープン(ハワイ)の米ツアーのほか、欧州ツアーにもすでに今春2試合トライしました。石川遼も今春米ツアーのフロリダなどに遠征しましたが、予選落ちの悲哀を味わって帰国しています。
こうしたシビアな環境での苦い経験を良薬として、世界で通用するゴルフを日本選手も身につけてもらいたいものです。ひとり松山英樹のかげにいる日本のゴルファーたちよ、一大奮起を!と叫びたいところです。
(了)