「優勝に一番近い男」がまた逸勝!“勝利の女神”が振り向いてくれるのは、いつ!?

精度の高いゴルフをしながら初勝利が遠い飯島宏明。

“優勝に一番近い男”といわれながら、いまだに初栄冠から嫌われているシニアの飯島宏明(52)が、今季のメジャー第2戦「日本プロシニア選手権・住友商事サミットカップ」(茨城・サミットGC)で3日目には8アンダーで首位タイに立ち、“今度こそは”と夢を膨らませましたが、最終日「74」とスコアを落とし通算6アンダー6位。並んで首位タイから出たタイの54歳、サマヌーン・スリロットに通算10アンダーで初優勝をさらわれました。昨季最終戦の「いわさき白露シニア」でプレーオフ負けしたのをきっかけに、今季も「ファンケル」(8月)で優勝争いの末、3位。続く「マルハン太平洋シニア」(8月)でマークセンにプレーオフ敗戦。「コマツオープン」(9月)では1打差2位に泣き・・と惜敗続き。ツアー未勝利ながら出場8試合中トップ10に6回。賞金ランクは7位(1540万2900円)に食い込んでいるこの男に花咲く日はいつでしょう?シニアの残り試合は5です。

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小技のうまさは抜群、「パットは得意」ともいう飯島宏明。数々のプレーオフを逃がし続けるが、初勝利の日は近いだろう。

シニアツアーは今季8試合を終了しましたが、飯島が特に悪かったのは「スターツ」の52位1試合だけ。あとはトップ10内6試合と「日本シニアオープン」も11位でほとんどの試合で上位で戦っているのです。ショットは安定しているし、特にアプローチとパターは1級品。今回も初日「72」で30位とやや出遅れましたが、2日目には「66」のベストスコアタイを出して2位に浮上。3日目の「70」で3人トップタイに。初優勝の夢はまた目前でしたが、最終日はショットの乱れが出て4打差の6位までダウンです。最終日の乱れやプレーオフ負けが多いのはプレッシャーなのでしょうか。過去何回もプレーオフ負けで泣き、接戦を勝ちとる最後の“強さ”が出せないのは、飯島自身もはがゆい思いでしょう。

最終日、3人トップで優勝を争い、17、18番の連続バーディーで飯島宏明らを振り切ったサマヌーン・スリロット(タイ)。日本初優勝だった。(写真提供・日本プロゴルフ協会)

これまでのコメントを振りかえってみても「いいプレーをしてるのに、バーディーをとってからプレッシャーがかかった」「(トップに立つと)力が入ってしまう。力が入らないようにと思いながら、プレッシャーがかかってしまう」「ショットで体が起き上がって、手を使ってしまった」・・と無念のコメントばかりです。レギュラーツアーでも勝利はありませんでしたが、シニア入りするのを見据えて50歳前からトレーニングに励み、19年にはレギュラーのQT(出場予選会)を受けて44位。それをきっかけに下部ツアーにも積極的に出場して腕を磨いたというから見上げたものです。精度の高いショットと小技を効かせた“飯島ゴルフ”は、シニアではトッププレーヤーのレベルといってもいいでしょう。

 

2日目まで首位をキープ。最終日も最後まで優勝を争った山添昌良。1打差の2位に終わった(茨城・サミットGC)=提供:PGA

千葉県旭市出身。県立東総工業高校では部活でバトミントン部に所属して運動神経は抜群だったとか。高校を卒業するとゴルフのプロを目指して研修生になり、24歳でプロテストに合格。チャレンジ(下部)ツアーでは21年に2勝して賞金ランク2位に。のちにABEMAツアーとなって通算3勝を挙げていますが、レギュラーツアーでは04年の「ミズノオープン」でB・ジョーンズとのプレーオフとなり、2ホール目に第1打を池に入れて“大魚”を逃がした悪夢もあります。昨季シニアの最終戦「いわさき白露」では通算11アンダーで渡部光洋とのプレーオフ。「あのときは自分がチョロを打って負けました」(飯島)と、やはり自滅敗退。特にプレーオフには徹底して「運」に恵まれない過去があるのは、思い出したくもないでしょう。苦節を重ねる飯島宏明に「勝利の女神」が微笑んでくれるのはいつなのでしょう。「いいプレーは続いているので、そのうちにチャンスはくると思うので、頑張りますよ」。
次の試合に勝ってもおかしくはない男ですがー。

(了)