石川遼「63」でプレーオフ進出も43歳・岩田寛に敗退。 13日開幕、海外メジャー「全米オープン」へ大きな弾み!

32歳石川遼・43歳岩田寛の白熱のプレーオフ。ともにグリーン(18番)を外したが、石川が5メートル弱のパーパットを外して決着。健闘を称え合う二人(左・岩田寛、右・石川遼)=宍戸ヒルズCC=

国内男子ゴルフの今季メジャー第1戦「BMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ」(茨城・宍戸ヒルズCC西コース・パー71)は、大熱戦の盛り上がりでした。最終日、石川遼(32)が「63」の大爆発。首位への5打差を縮めて43歳岩田寛とのプレーオフに持ち込みましたが、1ホール目で5㍍弱のパーパットを外した石川に対し、1㍍のパーパットを沈めた岩田が昨年4月の「中日クラウンズ」以来のツアー6勝目。“5打差大逆転”かと期待のかかった石川遼は惜しくも通算19勝目を逃がしましたが、今週は休む間もなく海外メジャー「全米オープン」(ノースカロライナ州パインハーストNo.2)が控えています。日本予選をトップ通過して8度目の「全米」出場を決めている石川には大きな弾み!“今年こそ”の夢が膨らんだといえそうです。

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最終日「63」の爆発で、5打差を追いついた石川遼のショット。

首位と5打差の16位から出た石川遼の大まくりには驚かされました。1番でボギー発進ながら、6番(パー5)で残り30ヤードをチップイン・イーグル。最終18番(パー4)ではフェアウェイバンカーからの159ヤード。グリーンに弾んだボールは、ギャラリーの大歓声の中、カップをかすめて10㌢に止まるスーパーフィニッシュ。これがカップインしていればプレーオフを待たずに遼の逆転イーグル優勝でした。1イーグルのほかは8バーディー、2ボギーで「63」の猛チャージは、“好調”を取り戻した石川ゴルフの証明でした。5組前で先にホールアウトしてから1時間以上経ってから臨んだ18番でのプレーオフ。第1打が右のラフにつかまり、大きな立ち木に邪魔された第2打のショートアイアンが、グリーンに乗らず手前ラフ。アプローチも5㍍弱ショートしてパーパットは右に外していました。一方、グリーオーバーしながらパーセーブした岩田に無念の敗戦。22年の「三井住友太平洋マスターズ」以来のツアー19勝目は成りませんでした。

しかし、敗れた石川の表情に曇りはありませんでした。「このスコアを狙ってガンガンいったのではなく、しっかり自分なりのゲームプランで4日間何も変えずにプレーしたスコアだったので収穫は大きいですね」と遼。このコースは過去10戦して5度の予選落ちと得意ではない会場。「今週も難しいなと思いながらやった中で、しっかり自分のゴルフをやれて優勝争いできたのは、自分に対しての(上り調子の)証明ができたと思う」と、敗戦の中にもしっかりした手ごたえを得た一戦でした。

次戦は13日からの世界最高峰「全米オープン」が控えます。今年の「パインハーストNo.2」は、毎年タフなメジャー設定の中でも、まさに手ごわい難コースです。遼は月曜日には渡米しますが、「コースチェックを早くしたい。このコースでは何が必要なのかを知りたいです」と、気持ちは早々米国へ飛んでいるようです。石川の「全米オープン」は過去7回のうち予選落ち3回。最高は30位(2011年ワシントン近郊「コングレッショナルCC」)で、昨年のロサンゼルスCCは63位でした。海外メジャーは「毎年、自分のゴルフをアップデートできる機会」といってきた男にとって、大舞台へ向けてさらなる進化を遂げてくるかどうか。大会優勝賞金は昨年実績で史上最高額の5億400万円(360万ドル)でした。今季はさらなるアップが予想されます。ビッグマネー争奪戦も含めて、今週もまた楽しみな週末になりそうです。

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プロ21年目の43歳。国内メジャー制覇でツアー6勝目の岩田寛。

43歳130日で大会最年長Vとなった岩田寛。プロ21年目でツアー通算6勝目。悲願の国内メジャー制覇を成し遂げ5年のシード権も得ました。3日目に首位に立ち、最終日は快調に走りながら14番と17番でボギーとし、終盤2バーディーの石川遼とトップタイでホールアウト。プレーオフは1ホール目(18番)フェアウェイからグリーンオーバー。ピンチかと思わせましたがギャラリースタンド前のドロップゾーンから絶妙のアプローチを見せてパーセーブしました。

≪岩田寛のコメント≫

「最後のパット(1㍍強)を決めたとき、うれしいというより、疲れたーという感じでした。コースが難しすぎて・・。思い出したくないくらい震えていました。プレーオフはこれまで一度も勝ったことなくて(2戦2敗)、むしろリラックスしてやれた。遼がボギーを打つとは思えなかった。バーディーをとらなきゃ勝てないと思っていた。(プレーオフは)殆どが遼の応援だと思っていて、そしたら18番ティーに行ったとき“岩田がんばれ”っていってくれた人がいて、泣きそうになりました。最高ですね。歴代最年長なんですか。ほんと、しんどいです。このコース。笑顔が少ないんですけど、応援よろしくお願いします」

(了)