「テレ朝」が42年続けてきた「全英オープンゴルフ」中継から撤退する方向であることがわかり、衝撃が走っています。1982年から昨年まで長きに渡って“全英はテレ朝”として親しまれてきた「テレビ朝日」の看板番組。レジェンド青木功氏と戸張捷キャスターの“名コンビ”による世界最古のメジャー中継は、数々のドラマをお茶の間のゴルフファンに届けてきました。今年は日本円で5億円ともいわれ高騰する放映権料で折り合いがつかず、苦汁の決断での撤退となったようですが、国内でも女子ゴルフツアー(JLPGA)が地上波よりインターネット配信への切り替えに積極的な姿勢。地上波によるスポーツ中継は他競技も含めて減少傾向で、スポーツ放送の大きな転換期ともいえそう。テレビ朝日に代わって「全英」中継の意向を示している他のテレビ局はなく、動画配信サービスの「UーNEXT」が交渉を進めているといわれます。今年の「全英オープン」は7月18日から21日までスコットランドのロイヤル・トルーンGCで開催されます。
☆★ ☆★ ☆★ ☆★
地上波TVで、無料でスポーツ中継を見る時代は終わるのでしょうか。「テレ朝」が「全英」から降りたことで、地上波で4大会あるゴルフの海外メジャーをテレビ観戦できるのは、TBSが1976年から中継している4月の「マスターズ」のみとなりました。「テレ朝」は過去「全米オープゴルフ」も中継してきましたが、2020年を限りに撤退。海外でのスポーツ中継は、近年放映権料が上昇の一途。視聴率が上がっても、採算がとれない状況が続いているのだという。
「全米プロ」は過去フジテレビ、テレビ東京が中継も、21年を最後に撤退。「全米オープン」はTBS、NHK、テレビ朝日が中継したあと、コロナ禍の影響もあって20年で撤退しています。ひところは地上波でたっぷり海外メジャーを楽しめたのに、各局が次々と幕を引いて地上波から消え去っていきました。
国内ゴルフも、近年日本女子プロ協会の小林浩美会長がインターネット配信に積極姿勢をみせ、日本女子オープンとTOTOジャパンの2大会を除く35試合すべてを「DAZN」と「UーNEXT」の2社で昨年と同様一括配信することを決め、実施しています。ゴルフ以外でも五輪はNHKと民放が高額な放映権を共同購入。地上波中継をなんとか維持しています。サッカーのW杯アジア予選中継も放映権料の高騰で地上波による中継は年々困難な状況となっているといわれています。
「テレ朝」が撤退する「全英オープンゴルフ」は、男子ゴルフの4大メジャーの一つ。1860年に始まった世界最古のトーナメントとして知られ、今年は152回目。リンクスといわれる英国海岸線付近のコースで持ち回り開催。今年はスコットランドのロイヤル・トルーンが舞台です。「全英」の日本勢最高成績は1982年の倉本昌弘の4位。今季は復調著しい松山英樹が「マスターズ」に続くメジャー優勝成るかと注目されています。
日本でTVのメジャー中継が減っていくのは「ゴルフ界にとって大きな痛手」と関係者の表情も冴えませんが、ネット時代の勢いはこれからも続きそう。地上波によるこれまでのスポーツ中継は、やはり“冬の時代”なのでしょうか。
(了)