男も女も韓流の猛威に日本勢、音なし!!

抜群の安定度で今季2勝。通算19勝目を挙げた全美貞(ジョン・ミ・ジョン)。猛威を振るう韓国パワーの“エース”。初の賞金女王へまっしぐら!
抜群の安定度で今季2勝。通算19勝目を挙げた全美貞(ジョン・ミ・ジョン)。猛威を振るう韓国パワーの“エース”。初の賞金女王へまっしぐら!

 韓流旋風がふき荒れる日本のゴルフ界を象徴するような1週間でした。女子ツアーは先週、服部真夕が外国勢連勝を「7」でようやく止めたのもつかの間、もう今週は賞金ランク1位を走る全美貞(ジョン・ミ・ジョン=韓国・29)が3日間トップを守って今季2勝目(日医工女子オープン=富山・八尾CC)。今季女子ツアーは前半戦17戦を終わり10勝が韓国勢を中心にした外国勢・・。同じ週、男子は日韓対抗戦「ミリオンヤード杯」(長崎・パサージュ琴海アイランドGC)が行われましたが、主力選手が来ていない韓国チームに、これまた8-12(ポイント制)で完全敗退。通算成績は日本の1勝3敗。男女そろって日韓の力の差をみせつけられたウイークでした。

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昨年、一昨年と2年連続日本女子賞金王に輝いたアン・ソンジュ(韓国)
昨年、一昨年と2年連続日本女子賞金王に輝いたアン・ソンジュ(韓国)

 女子ツアー、日医工の最終日。雨と強い風に多くの選手が悩まされてスコアを崩す中、全は2バーディー、1ボギーの1アンダーでまとめて逃げ切りました。さすが目下“NO1”の全美貞です。8番では4メートル、10番では7メートルのパーパットを外さず、スキを見せませんでした。今季1勝目を挙げた6月のリゾートトラストでも、3日間とも60台で回る安定度で初日からの首位を守りきる完全Vでした。大柄な体を生かした攻撃ゴルフが全の身上ですが、昨年から「バックスイングのとき体を大きく使って腕は使わないスイング」に手直しし、さらなる飛距離アップと精度も高めたそうです。弱点があるともいわれたメンタル面も、昨夏からイ・ボミらを指導してきた韓国人の李メンタルコーチに師事、精神的にもたくましくなって、今季は15試合に出て12試合がトップテン内。ほとんどの試合で優勝争いを演じる強さをみせつけています。ツアー通算19勝目を挙げて「永久シード(通算30勝)に挑戦してみたい」と、いっている“夢”にまた一歩近づきました。

“飛車角落ち”ながら敵地・長崎で日本勢に完勝、喜びを発散させる韓国チーム(長崎・パサージュ琴海)
“飛車角落ち”ながら敵地・長崎で日本勢に完勝、喜びを発散させる韓国チーム(長崎・パサージュ琴海)

 これほど強い全ですが、いまだに賞金女王がないのです。04年のファイナルQT(最終予選)を24位でクリア、05年から日本ツアーに参戦して8年目になりますが、賞金ランク2位、3位はあっても、いまだに賞金女王の座につけません。その悲願の女王へ今年は大きなチャンス。2位アン・ソンジュ(10年、11年連続賞金女王=韓国)との差を約1900万円にして独走態勢に入ってきました。今季の女子ツアーは、全美貞と李知姫の各2勝のほか、5人の韓国勢と中国1人で外国勢10勝(日本勢7勝)になりました。残る試合は後半戦の18試合。日本勢の逆襲を期待したいのですが、韓流の強さは“猛威”を振るっています。過去、外国勢の年間最多優勝は17勝(10年)。今年はそれを上回る20勝ラインに到達するのではないかと懸念されています。

ベストメンバーで臨みながら地元の利も生かせなず、昨年に続き連敗の日本チーム(下左から谷原秀人、藤田寛之、谷口徹、石川遼、高山忠洋、青木功主将。上左から深堀圭一郎、池田勇太、藤本佳則、近藤共弘、小田龍一)=長崎・パサージュ琴海
ベストメンバーで臨みながら地元の利も生かせなず、昨年に続き連敗の日本チーム(下左から谷原秀人、藤田寛之、谷口徹、石川遼、高山忠洋、青木功主将。上左から深堀圭一郎、池田勇太、藤本佳則、近藤共弘、小田龍一)=長崎・パサージュ琴海

 日本から韓国までの距離が約950万キロメートル。ヤードに換算すると約100万ヤードであることから、男子の日韓対抗戦は「ミリオンヤード杯」と名付けられています。過去の対戦成績は日本の1勝2敗。最初の2日間はダブルスで行われ、初日は1つのボールを交互に打つフォアサム。2日目は2人のいい方のスコアを採用するフォアボール。最終日はシングルスで争われる各チーム10人ずつの3日間大会です。

日韓戦、個人戦では意地を見せたが、チームでは韓国勢に2連覇を許した石川遼。
日韓戦、個人戦では意地を見せたが、チームでは韓国勢に2連覇を許した石川遼。

 この男子の日韓対抗戦も、日本は昨年に続いて韓国に完敗でした。大会は4回目で日本開催は初めてでした。そのホームゲームでも地の利を生かせずに2年連続の敗退です。それも今年の韓国代表は、昨年の日本ツアー賞金王、裵相文(ベ・サン・ムン)、一昨年の同賞金王、金庚泰(キム・キョンテ)もおらず、米ツアーでずっと活躍中のチェ・キョンジュ(崔京周)やY・E・ヤンも不出場。参加選手中、世界ランク最上位は208位のドンファンという“格下”のメンバー。大会直前の韓国紙では「歯の抜けたチーム」と評されたそうです。対してベストメンバーで臨んだ日本チームは、最終日の個人戦では6勝1分け3敗と追い上げ、個々の技量では劣らないところをみせましたが、メンタル面も問われる2人1組のダブルスでのちぐはぐさが、大きな敗因となりました。
 青木功キャプテンは「大会前にしっかり練習させるべきだった。選手の組み合わせもオレの采配ミス」と、振り返りましたが、毎年のように韓国にしてやられるチームジャパンのひ弱さは、どうにかならないものでしょうか。まさか、この対抗戦、“賞金ゼロ”であることが、元気の出ない原因ではないでしょうが・・。