プロ転向3戦目の初優勝!金谷拓実(22)。大学生ルーキー同士が演じたプレーオフ! 男子若手軍団に花ひらくか!?

プロ宣言から国内ツアー3試合目で初優勝した金谷拓実。

今年10月2日にプロ転向宣言をした金谷拓実(22=東北福祉大4年)が、ダンロップフェニックス(宮崎・フェニックスCC)でプロ初優勝、アマチュア時代の昨年11月に三井住友VISA太平洋マスターズを制したのに続くツアー2勝目を挙げました。通算13アンダーで並び金谷とプレーオフを演じたのは、同じ大学生プロのルーキー、石坂友宏(21=日本ウェルネススポーツ大3年)。大学生ルーキー同士のプレーオフは、ツアー史上初で、1時間を超える4ホール目に金谷のバーディーで決着しました。金谷の国内ツアー3戦目での初優勝は、松山英樹の2戦目に次ぐ速さ。スーパールーキーの実力発揮は人気低迷が続いた日本男子にも世代交代の大きな波をもたらしました。残る今季の国内男子ツアーは日本シリーズJT杯(東京よみうり)1試合のみ。この最終戦は金谷を先頭に、中島啓太(日体大2年)、石坂友宏ら実績を上げてきた若手軍団の激戦が大きな見どころとなってきました。

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石坂友宏と大学生プロ同士のプレーオフ。4ホール目に金谷のバーディーで決着した。

1試合前の三井住友VISA太平洋では20歳のアマチュア、中島啓太(日体大2年)が最後まで優勝にからんだ(3位でベストアマ)と思えば、今度は日本ウェルネススポーツ大の石坂友宏(21)=19年QT25位=が主演です。2日目、66で首位に立つと3日目も60台で回って首位をキープ。ルーキー初優勝への夢が高まりました。しかし、これにピタリと食い下がって離れず、最後に4ホールのプレーオフに持ち込んで逆転勝利を収めたのは金谷拓実でした。最終日、1打差で石坂を追った金谷は、前半2打差とリードを広げられながらも、勝負のバックナインのプレーはさすがでした。12番(パー4)で2㍍を入れられさらに3打差に後退した金谷にエンジンがかかったのは残り4ホールとなった大詰め15番から。465ヤードと距離のあるパー4。金谷はグリーン脇からピン6㍍。これを沈めて差は「2」。続く16番。右ドッグレッグのパー4でもグリーン右のカラーからの5㍍をパターでねじ込みます。いやな中距離のパットをことごとく1パットで入れてくる金谷は強いです。こお16番、石坂は右ラフに入れ2オン成らず花道へ。チップで寄せた2㍍弱をミスしてボギー。″バーディー&ボギー〝で一気に2打縮まり、2人は13アンダーでトップに並んだままホールアウトでした。

全身でフルショットする金谷拓実のスイング。

プレーオフ(18番パー5)は一進一退で4ホールへと1時間を超える長丁場。着実にフェアウェイを捉え続ける金谷に対し、右ラフ(松林)に入れた石坂の差が明暗を分けました。2オンを狙ってグリーン奥エッジへ運んだ金谷。第2打を出すだけだった石坂の第3打は、金谷と同じグリーン奥エッジへ。ともにそこからの寄せの勝負。直接インを狙った石坂は入らず、金谷は約10ヤードのチップを約40㌢に寄せてバーディー。無観客のコースは静かなフィナーレでした。

史上初、大学生プロ同士の白熱のプレーオフ。未勝利の石坂の大健闘も光りましたが、実績豊富な金谷に一日の長がありました。昨年8月からアマチュア世界ランク1位を維持。今年9月には日本人で初めてアマ世界一の称号マコーマックメダルを受けた金谷。アマ時代の昨年11月アマ4人目で制した三井住友VISA太平洋以来、早々とツアー2勝目。プロ転向後、国内ツアー3戦目(7位、5位)で初勝利。大学の先輩である松山英樹が2014年に達成した大会最年少記録も塗り替えました。今年は9月に全米オープン(予選落)、10月にはZOZOチャンピオンシップ(41位)と再度の渡米。帰国してコロナ対策の自主隔離を終えてVISA太平洋から国内ツアーに復帰したばかりでした。

まだアマチュアの雰囲気が抜けきらない金谷拓実だが、鋭い打球はプロでも一級品だ。

★プロ転向以来3戦目のプロ初勝利の金谷拓実のコメント

「ホントにお待たせしました!ショットの調子はあまりよくなかったけれど、小技とパットでしのげました。(ダンロップフェニックスは)小さいころからテレビで見ていた大会。歴代優勝者は凄い人ばかりでその仲間入りできたのがうれしい。アマ時代の1勝だけで、自分がプロとして通用するのか不安でした。プロで大成できなかった選手は過去に何人もいますから。プロ3戦目で(プロとして)勝ち、少しずつ自信が確信になってきた。これからは賞金王目指してやっていきたい」

まだ東北福祉大の4年生。昨年11月にはアマで三井住友VISA太平洋マスターズを制覇。1年後には
プロ宣言してダンロップフェニックスでプロ初勝利した金谷拓実。低迷している男子ツアーの救世主になるか?!

この勝利で賞金ランクも3位(3189.5万円)に上がりました。コロナ禍で試合が減り、来年末までの2シーズンで争う賞金王レースはまだ先が長いですが、松山英樹に次ぐ2人目のルーキー賞金王も視野に入ってきたでしょう。来年1月ハワイで開催の米ツアー「ソニー・オープン」への推薦出場も決まり、将来米ツアー参戦を見据える金谷拓実の夢は広がるばかりです。金谷に続くのは、今回プレーオフ負けした石坂友宏、VISA太平洋で話題を集めた中島啓太(日体大2年)。さらにダンロップフェニックスでも8位に入った米沢蓮(東北福祉大3年)、27位の杉原大河(東北福祉大3年)、66位河本力(日体大3年)ら、このところ男子のアマチュア旋風も女子に負けていません。″金谷に続け〝と熱戦に名前を連ねるようになれば、日本男子も女子に追いつけ追い越せ!の爆発力を秘めています。

(了)