シニアツアー開幕戦「実施」から一転「延期」!ゴルフ界はついに試合なしで4月へ。コロナ旋風、終息はいつ?!

シニアツアー開幕戦などについて発表する倉本昌弘PGA会長(東京・浜松町WTC)

4月10日開幕だったゴルフのシニアツアーも開幕戦、金秀シニア沖縄オープンと第2戦のノジマチャンピオンカップ箱根シニアの開催延期が発表されました。これで男子ツアー、女子ツアー、男女2部ツアーにシニアと、すべての試合が中止もしくは延期となり、国内ゴルフトーナメントはまだ1試合も行われないまま4月を迎える壊滅状態となりました。もちろん、世界的猛威をふるっている新型コロナウイルスの感染拡大が原因。米ツアーも4月のマスターズや6月の全米オープンのメジャーも延期となるなどツアーはズタズタの状態。まさに世界を震撼させるコロナウイルスの威力に翻弄(ほんろう)されるゴルフ界です。国内シニアについては、3月30日の記者会見でいったんは「強行開催」を発表しながら、事態の悪化には抗しきれず、4日後の4月3日には一転して「開催延期」に変更する異常な展開をみせつけました。

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発表会に出席したPGA首脳陣。槙岡充浩副会長(左)、倉本昌弘会長(中)、井上建夫副会長(右)=(東京・浜松町)

倉本昌弘会長率いる日本プロゴルフ協会(PGA)の慌てようも尋常ではありませんでした。その舞台裏はー?
シニアツアーを主管するPGA倉本会長は、4日前の3月30日には記者会見を開き「シニア開幕戦の金秀は観客を入れて開催。第2戦のノジマは無観客で開催する」と、自ら発表したばかり。国内外であらゆるスポーツ団体がイベントの開催を取りやめている状況の中で、しかも50歳以上が集まるシニアツアーを強行開催するというのですから驚きでした。「これには批判も受けるかもしれません。しかし主催者がやりたいといっているし、ゴルフ界全体を背負っているという観点から立ち向かっていく。全責任はスポンサーサイドや選手ではなく、あくまで私にあります。最大限の努力をしたい」と力説したばかりでした。
ただ、それには感染防止対策に万全を期すーと、その一端も明しました。ギャラリーバスは出さない。ギャラリーゲートでは検温を行い37・5度以上の場合は入場を断る。入口ではアルコールでの消毒とマスクの着用。ギャラリーは入場前に氏名、連絡先の記入を求める。アルコール消毒液をコース内適切な30個所に設置する。プロ全員に体温計を配布する。選手はクラブハウスのロッカーと風呂場は使用禁止。宿舎で着替えてもらう。メディアのクラブハウス立ち入りは原則禁止。PGAの職員らもマスクとプラスチック手袋を使用する。選手とのハイタッチ等は行わない・・ETC新型コロナウイルス対策を細かく設定して試合に臨むはずでした。

″シニアの王者〝プラヤド・マークセン(タイ)のショット。

シニアツアーに集まるギャラリーの数はレギュラーツアー等に比べると少ないのが現状で、平日なら1日200~300人程度。出場選手も少なく、キャディーはクラブに触れずカートの運転だけにとどめる。また3月下旬時点で開幕戦が予定された沖縄での感染者が少なかったこともあり、プロアマ大会も表彰式を行わないなど全体的にも規模を縮小しての開催に踏み切ったのです。開催決定を発表した翌3月31日に倉本会長は「あくまで現時点での判断。安倍首相の緊急事態宣言なり政府の動きによっては急きょ中止もあり得る」と、キャンセルの可能性も残して沖縄入り。主催の金秀関係者との最後の協議を行いましたが、話し合いの結果は、一転して「開催延期」へ大転換です。日ごとに蔓延度を増すコロナ旋風の感染力には抗しきれなかったのが実情でしょう。
シニア第3戦の台湾で行われる富那仰徳シニア杯はすでに早くから延期を発表しており、これでシニアツアーのフタ明けは5月13~14日の新規大会、涼仙モアサプライズ・カップ(三重・涼仙GC)になります。しかし、この試合も予定通り行われるかどうかは不透明です。今季のシニアツアーは全18試合が予定されていましたが、3試合が開催延期となり日程が縮小されています。
またPGAが統括するグランド・ゴールド競技の開催についても全て日程未定としています。

日本のゴルフ界は、男子ツアーで1月のSMBCシンガポール・オープンでスタートしたものの、国内開幕の4月16日からの東建ホームメイト杯、第2戦中日クラウンズに続き5月のダイヤモンド・カップの中止も決定。関西オープン(5月21日から)も「1年延期」を相次いで告知し、国内4試合連続中止となっています。現時点での最短ツアー再開は、5月28日からのミズノ・オープン(茨城・ザ・ロイヤルGC)ですが、状況次第では更なるスケジュール変更も考えられます。女子ツアーは3月5日開幕のダイキン・オーキッド(沖縄・琉球)から4月17日開幕のKKT杯バンテリンまで7戦連続中止でまだ1試合も行われていません。

シニアの試合風景

米ツアーも男子は4月のマスターズ、5月の全米プロ、6月の全米オープン、さらに8月の全英オープンとメジャーもすべて延期、もしくは中止が決まっています。女子も4月のANAインスピレ―ションが9月に延期、6月の全米女子オープンは12月に延期。7月のエビアン選手権(フランス)は8月に延期など、各メジャーはもちろん2月以降ツアーがまともに消化されていないのが現状です。東京五輪圏内にいる渋野日向子、鈴木愛はシーズン初戦を迎えられず、早々と渡米した畑岡奈紗も米ツアー2位に2度入った1月を最後に実戦から遠ざかっています。米女子ツアーの再開は、現時点で6月のウォルマートNWアーカンソー選手権。今後も必要に応じて再調整の可能性も残しています。トランプ米大統領は「8月か9月に試合を再開できることを望んでいる」と発言するなど、ゴルフ界の見通しはまだまだ不透明といわざるを得ません。

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日本ゴルフ協会(PGA)では倉本昌弘会長(64)の4選を決めました。2014年以来6年の任期を終え4期目への続投です。3月30日の定時社員総会と臨時理事会で対抗馬なく決定。任期は2年。倉本会長は「私は会長は6年間はやらせて欲しいといって就任してその6年が過ぎ、ここで辞めるつもりでした。しかし、だれも次の候補者がいないのと、理事会でもう少しやってほしいといわれ決断しました。ロードマップを作り直して今後どう生きていくかを決めたい。2年後に次期会長になる人を育てることも私の務めでしょう。それと日本プロゴルフ選手権にいい冠スポンサーをつけたい」と、長期政権への抱負を語っています。

(了