男子ゴルフでアマチュア世界ランク1位の金谷拓実(かなや・たくみ、22=東北福祉大4年)が、来春の卒業を待たずプロ転向宣言を行いました。それに伴い10月2日付で日本ゴルフツアー機構(JGTO)のツアーメンバー登録を完了。金谷は昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズでアマチュアとして史上4人目のツアー優勝しており、2022年シーズンまでの男子ツアー出場シード保持者です。来週10月15日から千葉・紫CCすみれで開催される国内メジャー日本オープン選手権でさっそくプロデビューします。大学の先輩・松山英樹と同じ大学4年でのプロ転向。先のフジサンケイ・クラシック(9月3~6日)では優勝へ2打差の5位タイに食い込んでおり、来季は松山英樹以来のルーキー賞金王を目指すことになります。
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突然のプロ転向宣言でした。トップアマを続けてきた金谷のプロ転向は、時間の問題とされていましたが、シーズンさなかの10月を選んだのは驚きでした。しかし、今年は長い新型コロナウイルスの影響でプロ、アマを問わず試合が続々中止となり、プレーヤーたちは体を持て余しました。9月上旬フジサンケイ・クラシックに出場した金谷は3日目、最終日と連続60台を出して追い上げ、優勝した星野陸也の通算9アンダーに2打差の5位タイの健闘でした。そのあと世界の最高峰・全米オープンにも出場。世界屈指の難コースで難設定といわれたウイングド・フットGC(ニューヨーク州)では1打足りずに予選落ちした悔しさが、プロ転向への大きな契機になったようです。
「今回、プロになることを選択しましたが、9月の全米オープンで予選を通過できなかった悔しさが、プロになる気持ちを一層後押ししました。自分のゴルフができなかった。ああいう難しいコースを意識した練習をもっとしないといけないと思いました。プロになったらファンに愛され、ゴルフをする子供たちには目標とされるようなプレーヤーを目指したい」(金谷のコメント)
日本では見られないような難コースで、海外の一流プレーを間近かにし一層プロ意識を高めたあたりは、目標の高い金谷らしい思いといえるでしょう。
広島・呉市出身。広島国際学院高2年の2015年に日本アマチュア選手権を17歳の史上最年少で制覇。17年の日本オープンではアマで2位に入り、18年10月にはシンガポールで行われたアジア・太平洋アマチュア選手権で優勝。19年には日本のアマとして松山英樹以来、7年ぶりのマスターズ出場を果たし予選通過。最終58位ながら4日間をプレーしました。19年11月の三井住友VISA太平洋マスターズで、日本ツアー4人目のアマ優勝を遂げました。それにより2年シードを獲得。プロになれば22年度まではほぼフル参戦可能。今年9月のフジサンケイクラッシックでは5位。どの試合でもプロに匹敵するゴルフを展開してきた金谷です。
ドライバーの平均飛距離は280ヤード超。得意クラブは「パター」ということですが、飛ばし屋のうえグリーンまわりのショートプレーは抜群の巧さを身につけています。コースマネージメントなど、頭脳的なゴルフプレーもできるレベルの高いゴルファー。プロになっても十分戦える実力を秘めています。
米ツアー5勝の大学の先輩・松山英樹を追ってのプロ転向になりますが、金谷の将来の夢は米ツアーよりも欧州ツアーで戦うこと。低く打ち出し、ランを使って攻めるゴルフも好きで「欧州でやってみたい」との強い希望を持っています。いずれにしても海外志向が強い金谷。海外でのマネージメントは世界的なマネージメント会社でテニスの錦織圭や大坂なおみも契約している「IMG」と契約を済ませているという。
金谷の場合、国内ツアーの優勝者であることから、プロ転向宣言即JGTOのツアーメンバーへの登録が完了。国内ツアーへの出場可能となります。新型コロナ禍でツアーの中止が続く国内男子ですが、来週15日開幕の日本オープン選手権は無観客で開催されることが決まっています。金谷のプロ初戦は今季の国内初メジャーとなりますが、来春大学卒業までは「大学生プロ」としてのプロツアー登場となります。これまアマとしては多くのプロツアーに参加して実績を挙げていますが来週の「プロとしての金谷拓実」を注目しましょう。
JGTO青木功会長のコメント
「金谷拓実選手をツアーメンバーとして迎えられることは、大変嬉しく思います。金谷選手のいままでの活躍は目を見張るものがありました。これからは長くプロの世界でいいときもあれば、思うようにいかない苦しいときもあるでしょう。ゴルフに対して常に真摯に向き合い、日々努力を怠ることがなければ、必ず道は拓けるはずです。今後のさらなる飛躍を期待しています」
(了)