“変身さくら”、2年ぶりの復活V!「30歳・引退」宣言も撤回とは・・

横峯さくらの豪快なドライバーが久々冴えて、2年ぶりの優勝を果たした。
横峯さくらの豪快なドライバーが久々冴えて、2年ぶりの優勝を果たした。

 さくらファンには久しぶりの乾杯!です。なんだかんだといっても、日本の女子プロの人気NO1は横峯さくらです。そのさくらが、昨年は8年ぶりに優勝なしで終わってファンを悲しませました。昨年12月、27歳を迎えたさくら。次々と出てくる若手に、もう勝てないのか?? 広がりつつあったそんな心配の輪に、強烈なパンチをかませました。今季もようやく関東地区に上がってきた女子プロツアー、サイバーエージェント・レディス(千葉・鶴舞)。2打差の2位から出た最終日、トップにいた強敵、全美貞(ジョン・ミ・ジョン)が74と崩れたラッキーはありましたが、2つスコアを伸ばしたさくらが通算10アンダーで逆転の通算19勝目。20センチのウィニングパットを沈めたとたん、熱い涙があふれ出るというさくらにしては珍しい優勝シーンでもありました。約2年ぶりの美酒は、それほどうれしい復活Vだったのでしょう。

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 “やっと勝てた!”ーさくらの涙はその感慨が爆発したのでしょう。好調を取り戻した今季も、いいところまでいきながら最後のVが勝ち取れない。前週のフジサンケイ。最終日さくらは5つもスコアを伸ばして追い上げましたが、気迫のプレーで圧倒した佐伯三貴に追いつかず、2位で涙を飲んだばかりです。今季は開幕戦のダイキンオーキッドでも最終日66のベストスコアで森田理香子をとらえ、プレーオフまで持ち込みながら、23歳の森田に敗れました。

92試合連続予選通過のツアー新記録を樹立した横峯さくらは、それに花をそえる通算19勝目を挙げた。外国人キャディー(右)との息もぴったり。
92試合連続予選通過のツアー新記録を樹立した横峯さくらは、それに花をそえる通算19勝目を挙げた。外国人キャディー(右)との息もぴったり。

 「勝てる日がくるのかな」とまで思っていたそうですが、ついに勝利の女神は苦しみぬいたさくらの微笑みました。11年6月のリゾートトラスト以来、700日ぶりの勝利です。その間、さくらは連続92試合も予選落ちがないという見上げた記録を続けてきました。ツアー50勝している不動裕理が持っていた91試合連続予選通過の記録を、この試合で追い抜き“92試合”の偉業を打ち立てたのです。10年4月から3年かけて作った大記録ですが、さくらのゴルフがいかに安定しているかの証明でもあります。1勝もできなかった昨年は「今度は落ちると何度も思った」そうですが、体調が悪くても、ショットやパットがうまくいかないスランプにも耐え抜いてきたこの記録。それに花を添えた2年ぶりの優勝です。

 前半9ホールはパープレーに終わったこの試合。さくらは7番を終え首位の全美貞に3打差をつけられていました。最後のバックナインに入って10番で第2打を30センチにつける凄みのあるバーディーで追いつき、11番をボギーとしてまた離されましたが、12、13番を連続バーディーで再逆転です。13番は10メートルものロングパットを沈める絶好調時のさくらを彷彿(ほうふつ)させる勝負強さをみせつけました。18番のティーショットを左に曲げてヒヤリとさせましたが、ボールは左ラフ、7Iでグリーンを狙えるところに跳ね返ってくる幸運。ピン右4メートルに乗せてしのぎ切りました。

横峯さくらの優勝コメント

昨年、8年ぶりに優勝なしに終わって、ゴルフに対する考え方が変わった、というさくら。「30歳で結婚・引退」といっていた宣言も撤回した。
昨年、8年ぶりに優勝なしに終わって、ゴルフに対する考え方が変わった、というさくら。「30歳で結婚・引退」といっていた宣言も撤回した。

 「やっと勝てて、ここに帰ってこられた。忘れられない1勝です。最後のパーパットを打つまでは、これ入れたら優勝だ、嬉しい、と素直に冷静な自分がいましたが、入ったあとはこみ上げてくるものがありました。嬉し泣きでよかったです。(左に曲げた18番のティーショットは)自分と向き合えてなくて、緊張するだろうと思ってたのに、技術的なことを考えてそのまま打ってしまった。(技術的?)ハンドファースト、左足体重、ヘッドアップしない・・の3つなんですが、それを決められないまま打ってしまった。でもセカンドは気持ちを切り替えて打てた。先々週のバンテリンで、自分は崩れてしまいましたけど、佐伯(三貴)さんがいいプレーで自分に引き寄せていた。17番ではバンカーから寄せた4メートルを決め、18番では緊張している中で、外せばプレーオフなのに1.5メートルくらいのバーディーパットを決めていた。こういうプレーをしないと運を引き寄せられないし、勝てないんだと、勉強になりました」

さくらはさらに語ります。

「私は去年、シーズンが終わって色々考えたとき、ゴルフに対してちゃんと向き合えてなかったと思ったのです。試合は試行錯誤しながらやってましたけど、淡々とただ仕事という感じでこなしていた。今年は1試合1試合、を自分の中でしっかりと向き合ってゴルフをしようと決めているんです」

 人気も実力も備えた横峯さくら。04年のデビューからプロ10年目で19勝。すでに8億円超の生涯賞金を稼いでいます。そのさくらも今年は27歳。一時は「30歳くらいまでに結婚してゴルフは引退」と、宣言。その“30歳”も目前に迫ってきましたが、「結婚しても長く選手生活を続けたいし、五輪にも出たい」と今後の目標を大きく変えたことを表明しました。「去年、勝てなくて、ゴルフの考え方が変わって、ゴルフって選手生命がすごく長いと思うので・・。でも早く彼氏をつくって結婚する、というの目標は変わっていませんよ」と、結婚願望は強く持ち続けていることを笑顔で話していました。

 さくらは変わりました。あと11勝の永久シード選手(30勝)も視野に入ってきました。約2年ぶりに勝ったことで、これまでとはまた味わいの違う27歳の横峯さくらがこれからは見られそうです。