全英OP、優勝賞金史上最高!250万ドル(約3億4000万円)を手にするのは誰!? 世界のゴルフツアーは賞金アップの“波”。タイガー・ウッズも「全英」復帰!

日本国内勢を引っ張る比嘉一貴。初の「全英OP」出場で欧州ツアーの前哨戦からトライした。

今年の全英オープンゴルフは今週14日、“ゴルフの聖地”スコットランド、セント・アンドリュース・オールドコースで開幕します。ゴルフトーナメントの賞金アップが話題となっているのを受け、全英OPも昨年大会から約22%増の史上最高、総額1400万ドル(約19億円)、優勝賞金250万ドル(約3億4000万円)にグレードアップすることが発表されています。日本勢は、松山英樹をはじめ国内からは比嘉一貴、桂川有人、今平周吾、金谷拓実、アマの中島啓太ら主要6人の出場顔ぶれも決まり決戦を待つばかり。タイガー・ウッズも復帰、新リーグ「リブ(LIV)ゴルフ」出場選手のエントリーも認められました。第150回を迎える最古のメジャーは、波乱含みのゴルフ界の中にも一段と盛り上がりをみせています。

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今季国内ツアー1勝。常時上位に来ている好調・桂川有人。初の「全英」に燃える。

舞台はスコットランドの東海岸に立地するリンクス。人の手を加えない“自然を残したコース”セント・アンドリュース・オールドコースです。アンジュレーションにとんだフェアウェイや50ヤード超のロングパットが必要な巨大グリーン。随所にひそむポットバンカーはゴルファーを苦しめます。北の海から吹きつける冷たい風と、まつわりつくような深くしつこいラフは、このコースの“名物”でもあります。そんな難コースでも「一度はやってみたい」と、どのゴルファーも憧れる世界最古のゴルフコースに日本の21歳のアマ、中島啓太(日体大4年)も挑戦します。21年「アジア・パシフィックアマ」優勝による資格ですが、世界アマチュアランキング1位の実力派がどこまで“聖地”で戦えるか、見ものです。日本ツアー開幕戦「SMBCシンガポールOP」2位で、“上位4人”の全英切符をつかんだ桂川有人も、23歳の若者。国内賞金ランク現在2位。勝負強さが見ものです。18、19年の賞金王・今平周吾は、ダイヤモンド・カップで逆転優勝。ツアー通算6勝目を挙げて全英資格をゲットしました。今年10月には30歳になる油の乗り切ったベテラン。3度目の全英チャンスで花を咲かせるか。国内賞金ランク2位の金谷拓実もアマ1回を含め3回目の全英挑戦。今年は春から海外遠征を数多くこなし、世界のメジャーに照準を合わせています。本来の調子がいまひとつ出ていませんが、このあたりで一発本領!を狙っています。

世界アマチュアランキング1位の中島啓太(21)。今年は「マスターズ」「全米OP」に続いての世界のメジャー挑戦。アマの実力者がセント・アンドリュースではどこまで通用するか!

国内からの最後に控えるのは、今年ブレークした一人、比嘉一貴(27)。関西オープンに続き、日本ゴルフツアー選手権で素晴らしい逆転ゴルフでメジャー初Vを手にしました。現在国内マネーランキング1位。念願の世界のメジャー、初挑戦を前に、早々と欧州に渡り欧州ツアーでの小手調べで調整しました。身長158センチ。ツアー制施行以降、最も小柄な日本タイトル獲得者。沖縄出身のしぶといゴルフで初の世界舞台を驚かすかも。
日本人ではあっても別格の米ツアー選手の松山英樹。今季はソニーOP(ハワイ)で1勝。6月の全米OPでは最終日にベストスコア「65」で爆発。首位に3打差の4位に入って意地をみせました。米国内賞金ランク8位(7月3日現在)に居座るトッププレーヤーです。全英は6位(2013年)がありますが、15年のセント・アンドリュースでは18位に終わっています。あまり好成績はなく、昨年の全英は出場権がありながら、新型コロナ感染で欠場でした。久々“聖地”での開催にかけていますが、前哨戦のスコットランドOPでは予選落ちを喫しました。

昨季国内ランク2位の金谷拓実。今春は海外を転戦し「マスターズ」「全米プロ」ともに予選落ちの悲哀を経験した。「全英」での汚名挽回を期す。

一方、今回のセント・アンドリュースではタイガー・ウッズ(46)が5月の「全米プロ」3日目終了後に途中棄権して以来、1ヵ月半ぶりにカムバックします。6月の「全米OP」も回避してこの「全英」に照準を合わせてきました。過去2回、セント・アンドリュースを制しているタイガー。自動車事故で右脚に大けがをしてから1年5ヵ月。4月の「マスターズ」で1年2ヵ月ぶりに戦列復帰しましたが、13オ-バーの47位でした。「全英」での練習ラウンドでは「足は地についていたよ」と、ジョークを飛ばしていますが、どこまでの回復度をみせますか。

ゴルフの総本山「R&A」のあるセント・アンドリュースのクラブハウス(スコットランド)

ところで、新リーグ「リブ・ゴルフ」の超高額賞金にあおられるように、このところあらゆるゴルフ大会の賞金額が大幅アップしています。全英の増額のほか、米ツアーでも男女とも賞金増が目立ち、米男子は来季2023年から「ザ・プレーヤーズ選手権」など8試合の賞金額をアップ。その額は5400万ドル(約73億円)になるといわれ、「リブ・ゴルフ」に対抗しています。今秋にはフェデックス・ランク上位50人が出場できる、予選落ちなしの3試合が米男子に新設されるとアナウンスされています。また2024年からの米男子は、現行の“10月開幕”をやめ、従来の「1月開幕」に戻して、年をまたぐことなく1シーズンが終了する方式になる予定とか。世界のゴルフ界は“大揺れ”です。さて、いまのところ静かな日本ゴルフ界。「リブ・ゴルフ」に出場した香妻陣一朗は2試合で1億円超を稼ぎ、稲森佑貴は「リブ」第2戦に出場、11位タイで約5050万円(37万4000ドル)を獲得。今季2勝を挙げている日本ツアーでの賞金(約3998万円)をはるかに上回るマネーを1試合で手にしました。賞金稼ぎのプロ流失など、今後ないのでしょうか。どこへ向かっているのか、日本ゴルフツアー機構!です。

(了)